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2014.07/09 混練技術

高分子の混練技術にはノウハウの部分が多い。セミナー会社や科学情報書籍を発刊している会社からは、その点を考慮し複数の講師によるセミナーや書籍が企画されている。ただそれらは主にハードウェアーからの視点ばかりだ。高分子材料の視点から混練技術を論じている企画は少ない。

 

その数少ない企画の中で、先月東工大で開催された「14-2 ポリマーフロンティア21」( http://www.spsj.or.jp/entry/annaidetail.asp?kaisaino=943 )は、当方の講演も含めて3件ほど混練に関わる講演があった。恐らく材料側の視点で混練技術を論じた場合には、それが表題から隠れてしまうのかもしれない。

 

また、高分子材料についても塩ビのように混練技術が無くてもそこそこの混練ができてしまう場合やポリオレフィン系材料のように混練技術の差異がわからないか、あるいは不要の材料から、混練技術がその生産性にも影響を及ぼす複雑なポリマーアロイまで様々なので十把一絡げに高分子材料と混練技術という具合に論じられないのであろう。

 

特許を見ると稀に混練プロセス条件がクレームに入っている発明が存在する。多くは剪断混練(当方の呼び名であり、業界用語でも学術用語でもない)にかかわる内容である。高分子材料の混練では剪断流動と伸張流動が発生し、この力で混練が進行する。剪断混練とは、剪断流動が主に働くようにシリンダー温度やスクリューセグメントの配置を工夫した混練方法である。

 

多軸混練機について、その歴史は100年も無く、100年以上というゴムの混練技術に比較して技術蓄積が少ない。ゴムの混練では、今一部のゴムで多軸混練機による混練技術の開発が進められているが、高性能ゴムについてはいまだに、バンバリーとロールの組み合わせによるノンプロ練りとロール混練によるプロ練りの二段階の工程で行われている。混練工程時間も多軸混練機では10分前後で混練が完了するが、タイヤに使われるような高性能ゴムでは短くとも15分以上かけられている。

 

多くの混練の教科書を見ると、分散混合と分配混合で混練が進む様子が説明されている。ゆえに混練の実際を知らない人は多軸混練機でも問題なく混練が進むと勘違いするが、この高性能ゴムの混練時間の長さを理解すると多軸混練機に対する視点が変わると思う。

 

当方がお客様のアドバイスを聞いてくれなかったコンパウンドメーカーのおかげで自前の混練プラントを作らねばならなくなったときに最初に考えたのは、この高性能ゴムの混練工程であり、新入社員時代の思い出である。新入社員時代から退職するまでの自分の仕事の見直しをしなければならない、という退職前の仕事として最高に良い仕事に巡り会えた。

 

カテゴリー : 高分子

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