2014.07/15 混練技術(7)
タイヤには30以上の配合の異なる部材が使用されている。この商品に使用する大半のゴムは、昔からバンバリーでノンプロ練りを行い、ロールでプロ練りを行われてきた。しかし、このプロセスは効率が悪い。最近では、一部のゴムについて二軸混練機による混練が行われているという。
タイヤ以外のゴム製品では、今では圧倒的に二軸混練機によるゴムが多いという。熱可塑性エラストマー(TPE)の普及でゴム製品の多くは射出成形で作られるようになった。さらにゴムを混練しながら架橋する動的架橋技術も進歩し、樹脂と複合化されたTPEの一種TPVも汎用ゴムとして使われるようになった。
かつてバンバリーとロールで混練し、長時間かけて加硫と成形を行うのがゴムのプロセスであったが、1990年以降TPEの普及により、その多くが二軸混練機と射出成形によるプロセスで製造されるゴムに置き換えられた。
バンバリーとロール、そして長時間の加硫工程で製造されるゴムが無くなってしまうのか、という心配(?)はいらない。このプロセスの違いに大きな性能差が生まれるからである。すなわち、いくら動的加硫の技術が進歩してもTPVは、バンバリーとロールで混練された樹脂補強ゴムの物性に勝てない。
新入社員のテーマで樹脂補強ゴムの開発を行ったことをかつてこの欄で書いた。そこも合わせて読んで頂きたいが、耐久疲労試験では、製造プロセスの影響が大きく現れる。すなわち厳しい運動性能が要求される分野では将来もバンバリーとロール混練によるゴムが使用されてゆくと思っている。このようなローテクのゴムの話も未来技術研究所( www.miragiken.com )で扱う予定だが、高分子のプロセシングの問題については、まだ研究すべき事がたくさん残っている。
ところが混練に関して書かれている書物では、分散混合と分配混合で混練は進行し、といかにも混練の技術を簡単にモデル化できそうな書き方がされている。確かに混合はそれで問題解決するかもしれないが、混練の「練り」の部分については、未だ解決されていない部分で、そこを詳しく論じた書物が無い。
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