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2014.07/23 技術者と職人(3)

スキルを持たない科学的知識のある新しいタイプの職人が増えている。新入社員から2-3年は技術者に指導されて仕事ができるので本人も会社も困らないが、その後その様な人材はメーカーのお荷物になる。

 

スキルの高い職人の場合は、それなりに働く場所を用意すれば会社に貢献できるが、学校で学んだ科学的知識をスキルのように誤解していた職人は、その知識が時代とともに陳腐化すると働き場所は無くなる。しかしこのような職人でも長年の開発経験はあるはずだ。

 

職人がここに気がつくかどうかで、会社に貢献できる人材とどうしようもない人材の二通りに分かれる。長年の開発経験があれば、開発現場から肉体労働が主体の現場へ異動しても会社への貢献ができるが、後者の人材は、そもそも知識労働者の時代の特徴を理解していないので貢献ができないだけでなく、会社にとってその存在すら負の資産になる。

 

技術者を目指していたはずなのに職人になってしまった、と反省している人材は弊社へご相談ください。適切なアドバイスを致します。50歳になっても意欲さえあれば会社に貢献できる技術者になれると思っている。

 

本人の意欲さえあればいつでもやり直しができるのが技術者という職業の良いところである。科学者という職業は、年齢とともに能力は必ず低下するという問題もあり、やり直しができるかどうかは個人差が大きい。技術者については、技術者として努力してきた経験があれば、いつでも新しいタイプの職人から技術者へ転向することが可能である。本人と会社にそのような意欲があるかどうかの問題である。

 

会社によっては技術者を育成していない会社もある。転職してびっくりしたのは、若い人から技術者になりたい、という言葉を聞けない技術部門があったことである。大卒のスタッフの多くは皆管理職志望で、開発現場で技術を担当するのは昇進するための一つのキャリアという位置づけとして考えている。

 

人事考課における議論でも技術者としての評価をせず、いわゆる総合職としての評価が主体である。すなわち技術者として昇進できない会社である。このような会社では技術の伝承は十分に行われず、昇進できなかった人は技術者にもなれず職人になってゆく。このような会社では技術者が育たないだけでなく、基盤技術も育たないので業界の中で上位になれない。

 

一方フェローとか専門職、エキスパートなどの役職を用意し、技術者にも昇進の道を用意している会社もある。その様な会社では、技術者は技術者として育ち、企業の業績も向上する。そして業界トップとなる会社も出てくる。メーカーはこのような会社をお手本とすべき、と思う。

 

カテゴリー : 一般

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