2014.07/24 技術者教育
1970年代から問題解決の技法が流行し始めたと言われている。TRIZやUSITはそれよりも前にロシアで開発された科学的問題解決法である。TRIZやUSITが本当に技術開発に役立つかどうかは、その技法の研究された歴史の長さを見れば分かる。
未だに改良が進められている。もうそろそろだめな方法だと分かっても良さそうであるが、TRIZやUSITを推進している人たちは諦めない。問題解決法で問題解決できるように問題解決の努力をしている、というおかしな事が起きている。問題解決法そのものが目標になっている。
退職前に近くの職場でTRIZやUSITの推進委員が難解な言葉に酔いつつ、担当者に講義をしていた。教える方は難解な言葉に酔っ払い、聞く方は難解な手順で汗水流しても当たり前の解しか得られないので落胆し、の繰り返しのシーンを見ても会社の役職上無駄な努力だと言いにくく、そのまま退職した。
そのような悲劇のシーンを見てから、もうかれこれ5年以上経つが、その会社が技術的に優れた会社になった、という評判を聞かない。未だに主要事業は業界4番以下だ。優れた人材が入社しているはずなのに、技術者に育たず職人化してゆく会社は、会社の人事システムと同時に技術者教育について考えてみると良い。たいていは無駄な教育をやっている。
技術者教育で重要な方法の一つは、開発現場で行われる技術の伝承である。ゴム会社で樹脂補強ゴムを新入社員テーマとして担当したときの指導社員は個性的な技術者だった。いわゆる「クセ」のある人物だった。しかし、周囲の技術者は彼の力量を評価し、上司もその技術を信頼し、新入社員の管理ができなくとも指導社員に任命した。
マネジメントは下手であったが技術は一流で、その指導も指導方法は下手であったが中身が濃く、たった3ケ月であったがゴム材料技術の重要なポイントの大半を伝授してくださった。座学と実践の組み合わせで、技術を伝承しようという技術者の熱意が十二分に伝わってきた。すなわち技術の伝承にはコーチングスキルが無くても技術者の伝承しようという意欲と現場が揃っていれば伝わるのである。
カテゴリー : 一般
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