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2014.07/27 技術者の企画提案力(2)

20年ほど前から企画はプロ集団の仕事になった。すなわち、企画にもそのためのスキルが必要で、ある程度の訓練を受けなければ一人前の企画者として勤まらない時代と言われている。また、企画を行うために市場へ出る必要があり、最低でも係長程度のヘッドシップを身につけていた方が動きやすい。

 

中小企業ならばこの制約が無い代わりに、企画者一人の能力が企業の浮沈を左右する。ゆえに中小企業でも、新入社員にいきなり企画をまかせる無謀なことはしない。学校を出てからある程度実務経験を積んだ信頼できる人に任せるだろう。

 

企画を一度も経験したことの無い人に、企画をやりたいからと言って事業に関わる企画を任せるには少し勇気がいる。それなりの経験のある人と共同作業を担当させて、企画という仕事を理解させる必要がある。

 

開発現場では、技術の企画を練習台にして人材を育てると良い。技術企画は商品企画よりも易しいが、企画提案のプロセスと各プロセスで要求される能力はほぼ同じである。ただ提案のやり方や提案の道具も含めたプロセスが商品企画よりも易しい。

 

ゴム会社で高純度SiCの事業企画が認められ、二億四千万円の先行投資を受けて開発を始めたとたんに社長が交代した。業界3位の会社を業界6位のゴム会社が買収し業界トップを目指すことになった。全社方針が大きく変わったのである。高純度SiCの事業化を進めながら新しい方針に沿った企画を毎年行わなければいけない、艱難辛苦を味わうことになった。

 

社内ではリストラが進められ、新聞で騒がれた座敷牢と呼ばれる、企画を担当する管理職だけの部屋が作られた。当方は、管理職ではなかったので新しく建てられたファインセラミックス棟で毎日一人で仕事をすることになった。

 

その建物は武蔵野療養所の塀の横にあり、独身寮から歩いて2分ほどの場所だった。座敷牢という文字を新聞で見つけたときに、自分のいるところは何と呼べば良いのだろうと悩んだ。精神衛生上良くないので結婚して気分を変えた。通勤2分が1時間30分となっただけでも気楽になった。

 

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