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2014.08/04 技術者の企画提案力(9)

SiCは難焼結材料である。ゴム会社の50周年記念論文の審査に落ちた企画だったが、無機材質研究所で花を咲かせることができた。そして世界初の高純度材料が得られたことで、次々と新しい現象が見つかった。

 

当時SiCを焼結するために必要な焼結助剤は学会でも議論されていた重要なテーマであった。各種の助剤が研究されていたが、プロチャスカのBとCを用いた技術は秀逸であった。また、Cだけでも焼結するという研究発表も当時存在したが、焼結密度は高くはなかった。

 

しかし、高純度SiCを用いたところ、BとCの添加量はプロチャスカの特許に書かれた量よりも少なくて緻密化した。さらにフェノール樹脂を助剤として用いて、すなわち炭素だけを助剤に用いてホットプレスにかけたところ、99%まで緻密化した。

 

高純度材料を用いて過去の実験データを見直しただけでも新たな研究テーマがたくさん生まれた。特にフェノール樹脂を助剤に用いたホットプレス焼結技術は、半導体用冶工具を製造する為に重要なテーマとなった。

 

新しい発見は企画を容易にする。すなわち新しい発見により新たな機能が生まれ、新たな技術の可能性まで展開されるので、何も苦労しなくても企画のネタが得られるのである。

30年前はこのような企画のスタイルを取れる状況だった。

カテゴリー : 一般

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