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2014.08/12 事件

この一週間書店に並ぶ週刊紙には理研副センター長の自殺の記事が掲載されていた。しかし、内容はこれまでの寄せ集めの記事ばかりで、中には死者に失礼な記事もあり執筆者の人格を疑いたくなる。

 

彼の自殺は大きな事件であるが、週刊誌ネタとして騒いではいけない事件である。彼の立場と行動を考えたときに、あまりに悲しい事件である。彼の周囲の人は彼のおかげで利益を得たにも関わらず、誰も彼の苦しみを救おうとしなかった。むしろ彼を自殺に追いやる方向へ動いていた。

 

高純度SiCの事業をゴム会社で立ち上げた時に組織という実体が人間そのものの現れであることを知った。すなわち健全な組織は、健全な精神を持った人間の集団で運営された結果である。

 

入社時のゴム会社は創業者の精神が生きている健全な組織だったが、巨額の企業買収でしだいに不健全になり、新聞沙汰になったできごとが起きるまでに至った。すでにそのキズは癒え、3年前講演者として招待されたときには昔の健全な会社になっていた。創業者の伝説を大切にする会社は、仮に一時的に風土が病んでも自己再生する力がある。

 

たまたま風土が不健全になっていたときにFDをいたずらされた。犯人が分かっていたので課内会議で他人のFDにいたずらするのはやめましょう、と提案した。会議終了後、犯人から呼び出され、謝罪があるのかと思ったら説教であった。机をばんばんと叩きながら尋常では無かった。

 

その後は思わぬ方向へ推移したので、組織と個人のジレンマに陥り、自ら企画し学位までまとめ、事業として立ち上げた仕事をすべて捨てる決断をした。組織に発生したジレンマでは、個人の力で解決できない状態の時、個人は逃げ場を失う。もし組織がその個人を本当に心配しているならば、組織が問題解決に当たらない限り、最悪の場合に個人は死以外に逃げ道が無くなる。

 

転職を表明してから、組織は少し動き始めたが事態の改善には至らなかった。しかし当方の始めた事業は30年近く継続されており、喜ばしい限りだが、類似の問題が世の中で起きる度に思い出すトラウマになっている。

 

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