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2014.08/18 高分子の難燃化(4)

UL94規格ではドリップの有無で評価が大きく変わる。例えばV0試験では、ドリップがあった場合にいくら燃焼時間が短くとも硝化綿が燃焼するとV2となってしまう。この規格は実火災を念頭においた規格であり、科学的な見地から開発されたLOI評価法と相関が無い。

 

環境対応の必要性からノンハロゲン化技術に関心が集まり、リン系難燃剤の開発が進められ、耐熱性の高い新たなリン酸エステル系難燃剤もこの十年にいくつか開発された。リン系難燃剤では、その難燃化機構からリン原子の濃度とLOIとは相関する傾向にある。ポリウレタンや、PS、PC、ABS等でそのような実験結果が得られている。

 

しかし、LOIが24を越えたあたりから、リン原子の量が増えてもLOIが増加しなくなる場合がある。LOIが18前後の樹脂の場合では、21未満と21以上では相関係数が変化する。すなわちLOIが21は変曲点であり、それ以上では傾きが小さくなる傾向がある。

 

その結果、UL試験のV0以上を狙おうとした場合に難燃剤を20部近くも添加しなければいけなくなる場合が出てくる。コストも物性も考えなければこのような材料設計でも良いが、コストや物性のバランスを取ろうとすると難燃剤の添加量はせめて15%未満にしたい。

 

そうすると難燃助剤(と書いて良いのか知らないが)の添加という発想が出てくる。有名なところでは、ドリップ防止を狙ったフッソ樹脂の添加や、イントメッセント系の設計でメラミン樹脂との組み合わせを考えたりする。また、PC系ではシリコーンをグラフトしたPC樹脂を用いるアイデアも特許出願されている。

 

こうした考え方がいろいろ研究されてきて、特許出願が2000年頃から増えてきた。当方は、1980年にポリウレタン発泡体をホスファゼン変性して、10部未満で高い難燃性の発泡樹脂を開発し特許では無く始末書を書いている。そして始末書の汚名挽回策として燃焼時にガラスを生成するコンセプトで、硼酸エステルとリン酸エステルの組み合わせシステムを開発した。世間より20年早い発想でノンハロゲン難燃システムを完成した。

 

 

カテゴリー : 連載 高分子

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