2014.09/20 高分子の難燃化技術(4)
燃焼時にガラスを生成するコンセプトは、当時のセラミックスフィーバーの影響でセラミックス前駆体のアイデアを生み出した。タイミングよくゴム会社の創業50周年を祝う企画で論文募集があったので高純度SiC半導体事業の話を書いて応募した。この応募に関する顛末は過去に書いたので、ここでは技術者が新しい技術を生み出すために必要なコンセプト思考について書いてみたい。
技術は科学とは異なり人類の本能的活動の一部として発展してきた。「マッハ力学」にもそのあたりの考察が書かれているが、科学万能の時代にあまり意識されていない。科学の無い時代に技術をどのように開発してきたのか知るためには、過去の遺品を基に想像する以外にないが、「こういうものが欲しい」という欲求生まれ、その欲求を実現するための努力で技術が磨かれたり、新しい技術が生まれた可能性がある。
「必要は発明の母」という言葉もあるが、同じことを表現していると思う。今ほど便利ではなく自然の驚異に裸同然であった時代には、自然に欲求が湧きだし、その結果無意識に技術開発が行われた可能性がある。人間の基本欲求として生理的な三欲求があげられるが、科学の無い時代には食欲と同じように技術開発欲のようなものがあったに違いない。
今は科学万能の時代で技術開発は理系の人間の仕事のようになっているが、昔は文系の人間も欲求を満たすために技術開発を行っていた可能性がある。レオナルドダビンチが芸術家であり科学者でもあった、という表現を読んだことがあるがこれは間違っている。ダビンチは欲求不満の解消のため芸術活動と同じ次元で技術開発をしていたと思われる。
このような視点でダビンチの肖像画を眺めると欲求不満の肉食系に見えてくる。コンセプト思考は欲求不満解消のために行う行為と類似しており、こうあって欲しいとか、このようにしたい、と頭に思い浮かべることであり、現代のゴール指向の思考方法と同じことになる。
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