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2014.09/29 高分子の難燃化技術(13)

フェノール樹脂にシリカゾルとリン酸エステルとを組み合わせて高防火性フェノール樹脂を実用化したのだが、シリカゾルをフェノール樹脂に分散する技術は、意外と簡単であった。

 

一般に高分子へナノオーダーの超微粒子を分散しようとすると、分散前に凝集している超微粒子をばらばらにするために剪断力をかけねばならない。当時高速回転を発生できる混合器が開発されており、シリカゾルを分散可能な剪断流動を容易に発生できた。

 

レゾール型フェノール樹脂の粘度は、硬化前の分子量に依存し、低分子量タイプから高分子量タイプまで様々な樹脂が販売されていた。但し酸で硬化後のフェノール樹脂の防火性能は、分子量や触媒の酸の種類に影響を受ける。ゆえに高速でモーターに負荷をかけないために単純に低分子量タイプを選べば良いというわけではない。

 

また硬化速度の調整も重要で、フェノール樹脂が硬化するまで流動性が残っているのでシリカゾルの再凝集が生じる。この問題はパーコレーションを考えると解決でき、添加量を調整すれば解決できる。

 

たかがシリカゾルをフェノール樹脂へ分散するだけでも様々なノウハウが存在したが、ポリエチルシリケートをフェノール樹脂へ分散するよりは簡単であった。複雑な反応条件の問題を含んでいなかったからだ。

 

高分子の高速撹拌は、強力な剪断流動を発生し、ナノオーダーの分散を実現する。一般の二軸混練機の構造ではせいぜい800回転/分が限界だが、当時トルクは低いが約2000回転/分可能な攪拌機が存在した。単純なプロセシングだけで解決できる技術は易しい。

 

カテゴリー : 一般 高分子

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