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2014.10/25 技術の伝承(6)

窓際になるまで特許の整理やパーコレーション転移のシミュレーションプログラムの作成などソフト業務をアンダーグラウンド業務として行っていた。パーコレーション転移の研究の経緯については後日書くが、特許の整理を行ってみて転職したセンターが全くの新設ではなく、過去に何度もそのような部署が作られていたことが見えてきた。

 

そして特公昭35-6614という一生忘れないであろう特許を見つけた。それは一件だけ小西六工業という写真会社の前身の会社からぽつんと出願されていた。

 

絶縁体の酸化スズがInやSbを添加すると導電性が出ることが発見され、ITO膜が研究され始めたころである。まったく独自の発想で高純度の酸化スズゾルを合成し、その塗布膜が湿度に依存しない電子伝導性を有することを発見し発明を完成していた。

 

この発明の後10年以上酸化スズに関連した特許はこの会社から出願されていないが、他社からはITOや五酸化バナジウムを用いた帯電防止層の研究成果を特許出願する傾向になっていた。

 

すなわち転職した会社では、世界で初めての透明金属酸化物を用いた帯電防止技術の特許出願を行いながらも10年近く放置されていたのである。その間他社は周辺技術の特許出願を行ってきたために転職したときに圧倒的な差がついているような状況になっていた。

 

 

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