活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2014.10/30 技術の伝承(11)

ヤミ研でパーコレーションという現象を研究し始めたのだが、この状態では昭和35年当時と同様の状況になる、と憂慮し、センター長に相談して担当者を決めた。大学へ留学したい、と言っていた社員が先行して選ばれしばらくしてバトミントンに夢中になっていた体育会系の社員を加えた。

 

前者はリストラ時にその後技術サービス部門へ異動し育成できなかったが、後者は職場に残すことができ、無事工学博士まで育てることができた。二人とも最初周囲の評価は高くない社員だったが、潜在能力は高かった。それは仕事ぶりを見ればわかった。周囲には不満分子と誤解されたのかもしれないが、常に問題意識を持っていた。

 

実績のある社員ならばその実績から能力の推定ができるが、新入社員など社内で実績が無いこのような場合にどうしても低く評価される。会社では潜在能力を評価しないからだ。当方はバトミントンが上手で大学院まで修了していたので能力があると評価しても良い、と思った。またゴム会社でテニスの上手な社員は仕事もできる、と聞いていたからだ。

 

パーコレーション転移のインピーダンスによる評価技術は彼の最初の成果になった。この評価技術の価値を確認するために福井大学客員教授として当方が招聘されたときにパーコレーション転移におけるインピーダンス変化を数値計算でシミュレーションするテーマを採用した。

 

大学で検証された評価技術は、フィルムの製造プロセスの品質問題解決にも役だった。それまで直流法だけで評価されていた現象を交流法で見直すことにより新たな事実も分かってきた。

 

21世紀になり、当方が2回目のリストラを受けるまで、このころ開発された技術は活用され続けた。2回目のリストラで窓際になった後、カメラ会社との統合があり、カメラ会社の研究所がある豊橋へ当方は単身赴任した。そこへこの評価技術を持ち込んだ。

 

高分子中に微粒子を分散したときに観察されるパーコレーションを評価する技術は材料設計に不可欠である。豊橋では複写機に用いる中間転写ベルトという半導体ベルトの開発を担当したがその材料評価にこの技術は活かされるとともに、コンパウンドの品質管理にも使用された。

 

カテゴリー : 一般

pagetop