2014.11/01 技術開発だけで新商品を開発できるのか
故田口先生は、技術開発だけやるように、とおっしゃっていた。機能のロバスト確保の研究は不要で、タグチメソッドでそれが実現できる、と指導されていた。しかし、差別化するための新しい機能を生み出す方法については、技術者の責任といわれ、その方法まで言及されなかった。
タグチメソッドの導入で、技術者の責任は大変大きなものとなった。しかしその責任を背負わされた技術者は、その大きさを理解しているのだろうか。20世紀の科学の進歩は著しく、多くの企業で新たな研究開発をしなくても技術開発だけで新商品を生み出すことができる状態になっている。また、情報過多で新たな研究開発テーマが見えにくくもなっている。
中国でローカル企業を指導し、新たな樹脂開発を技術開発だけで進めていると、研究開発の重要性を痛感する。科学論文を調べてみても特許を調べてみても未だ公知になっていない事象が多く存在するのだ。
そのような事象に潜む真実は新たな技術を生み出す可能性を秘めているが、中国のローカル企業には研究開発をするための実験設備が準備されていない。研究開発と技術開発の違いが判らないのは一部の日本企業と同じだが、タグチメソッドでL18の実験計画を実施しようとしたら、その実験をさらに半分にできないか、と言われ目がテンになるような日常である。
研究開発の必要性など説明できる状態ではないが、それでもとりあえず新商品はできてしまう。タグチメソッドのすごいところだが、新しい機能を実現できた背景に潜む真理を知りたくなるのは、知識労働者の基本的な欲求である。
カテゴリー : 一般
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