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2014.11/12 文部科学省有識者会議の件の続き(2)

先日コンサルティングを行っている会社から依頼されて、新工場のスタッフ採用面接を実施したが、面白い若者に出会った。ある地方の中堅の私立高校出身で、その高校から進学できる大学を一浪して入学し、中退している。

 

その大学の偏差値は決して高くない。このようなキャリアの場合、日本の会社では大抵敬遠されるであろう。しかし面接して驚いた。自分の人生についてしっかりとした考えを持っていたのだ。最も30歳を過ぎていたので当たり前の事ではあるが、今の時代は、知識は多くても人生の知恵について乏しい人がいる。

 

履歴書はかなり背伸びして書かれていたが、どのように生きてゆくのか、そして何をしなければいけないのか考え、自分に投資をして面接に臨んだ姿勢を当方は高く評価した。同席していたクライアントの会社社長も想定していた職種で採用はできないが、別枠で採用したい、と惚れていた。

 

その人物はいわゆる中途半端な学歴であったが、社会で生きてゆく自分の武器を持っていた。今70歳までの雇用が議論されているが、多くの企業は60歳で武器も気力も無い労働者には辞めてもらいたい、というのが本音だろう。また40過ぎの派遣労働者の問題もWEBで話題として取り上げられているが、その中には「働く」意味の視点から理解できない意見もある。

 

国や企業経営者には雇用環境を整え労働者の能力を活用する義務や責任があるが、労働者には雇用されるために貢献できる能力を身につける義務と責任がある。今回採用面接で出会った若者は、「働く」意味をそれなりに良く理解し、自己実現の努力をしているように伺われ、履歴書とは関係なく採用を決めた。

 

労働者の自己実現の方法は様々だが、アカデミアの活用は一つの手法である。ところが現在の多くの大学にはそれに答えられるようなカリキュラムが用意されていない。大学という教育機関は、様々な年齢層やキャリアで再教育を希望する人たちを受け入れられるように環境を整えるべきだ。

 

例えば、一年間とか半年という期限の枠組みを取り除き、あたかも学問のカフェテリアのごとく、学びたいときに学びたい学習量を獲得できるようなカリキュラム編成を行うというアイデアはどうだろうか。アイデアの具体例として、物理化学という学問は、熱力学や量子力学、反応速度論など様々に小分割できる。また、それぞれは、基礎から応用まで数段階に分割可能である。

 

受講者は、細分化された教材から必要な科目と必要な量を選択し学んでゆく。学ぶだけでなく、時には類似カテゴリーの受講者が集まり議論をするような環境を大学は用意する。そこでは、地域に根ざした事業のアイデアを議論する。受講者は社会人なので事業の議論ならばできるはずである。

 

WEBなどを活用し、学べる環境を工夫すれば大学を生涯教育の場として社会に開くことが可能となる。知の体系を社会に拡散させる役割を大学に持たせれば、いわゆるL型大学の対象と考えられている大学もG型大学と肩を並べられる機会ができる。なぜなら学びやすい大学には人材が集まる可能性があり、集まった人材の英知が集合体として機能したときに新たな世界が生まれる可能性がある。学びやすい大学とは www.miragiken.com   の一つのコンセプトであり目標でもある。

 

 

カテゴリー : 一般

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