2014.11/17 問題解決プロセスとしてのタグチメソッド(1)
タグチメソッドは、科学的プロセスとして習ったが、目標仮説を設定して実施する「まずやってみよう」精神のヒューマンプロセスだと思っている。田口先生は機能の選択は技術者の責任といい、タグチメソッドのプロセスから切り離している。タグチメソッドはあくまでも機能の改善方法を効率良く見つけるための問題解決プロセスである。
基本機能の選択は、ドラッカーの「何が問題か」という問いに相当する。基本機能がわかり誤差因子と制御因子を割り付け、まず実験をやってみる。ここで目標仮説は基本機能のSN比を改善できる制御因子の組とその条件が見つかる、ということだ。
田口先生の著書を読むと、SN比の求め方から制御因子の寄与や誤差についてまで科学的に説明されている。タグチメソッドは統計ではない、と田口先生は生前の講義の中で説明されていたが、確率ではなくSN比を導入した時点でもはや統計ではなくなっている。しかし、その説明は統計学に似ている。田口先生のタグチメソッドを説明した初期の著書と先生が書かれた統計の教科書を比べるとよく似ている。
タグチメソッドを習い始めたころ思い出したのは新入社員時代のタイヤ軽量化の技術研修だった。タイヤの設計知識が無くてもQC7つ道具さえ知っておれば、なんとか問題解決できた。タグチメソッドでは科学知識が無くてもその手順さえ知っておれば誰でも機能の改善ができる。ただし基本機能を選び間違えると失敗する。タグチメソッドの難しいところは基本機能の選択のプロセスであり、それ以外は手順通り実験を行うことで容易に機能の改善ができるので、優れたヒューマンプロセスといえる。
さらに基本機能と制御因子、そして実験を行うための誤差因子、必要に応じて調整因子を伝承すれば、技術の伝承になる。ただしこれは科学の伝承ではない。あくまでも技術の伝承で、もし伝承された人が不思議に思ったならば、基本機能の研究を行う必要が出てくる。また故田口先生もシステムにおける基本機能の研究は奨励していた。
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