2014.11/30 問題解決プロセスにおけるリーダーの重要性
問題解決においてリーダーの果たす役割は重要である。特にヒューマンプロセスを実践しようとするならば、科学一辺倒の職場では、ある種の覚悟も必要になる。以前にも書いたがiPS細胞におけるヤマナカファクターの発見では、ヒューマンプロセスに必要なリーダーの条件がうまく発揮されている。
ヤマナカファクター発見に至る実験の大半は学生により進められたという。20個以上のDNAを細胞に組み込む非常識な実験も学生の発案による。そしてこの実験で成功後、消去法という科学者には珍しい実験プロセスで4個のヤマナカファクターを決めている。
すなわちヤマナカファクターの発見までのプロセスは非科学的に進められ、それを科学を指導する立場である山中博士が好意的に捉えていた点である。ただしヤマナカファクターが見つかった後に行っている細胞の初期化実験はすべて科学的に進められ、論文も捏造ではなくノーベル賞受賞につながる本物だった。
テレビのインタビューで語られたヤマナカファクター発見に至る経緯の説明はこのように衝撃的だった。科学的プロセスと非科学的プロセスをうまく組み合わせて研究を進め、学生が試行錯誤で行った非科学的なプロセスでもリーダーは好意的に受け入れ担当者のモチベーションを大切にしていたのである。
大学や企業の研究者の会合でこの話をすると、皆その様に推進しているという。しかし当方が転職後経験したのは、科学的に研究開発を進めろ、という指示ばかりであった。転職直後における頃当方の仕事の進め方も批判の対象になった。
そのため企業の中で行われるプレゼンのためにわざわざ科学的に進めたかのような資料を用意するようになった。科学的プロセスは重要である。しかしそろそろ非科学的プロセスでも受け入れる時代になっても良いように思われる。
科学的プロセスは小学校以来学んできているのである。しかしそれが現場でうまく活用されていないのは他に原因がある。
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