2014.12/10 非科学的問題解決事例-PENの巻き癖解消(6)
高温短時間処理プロセスはTg以下のアニールよりも難しいが、Tg以下のアニールよりも短時間で非晶部分の均一化が進む。おそらく高温短時間処理では非晶部分は均一になっているのではないだろうか、と思ったりもする。
材料科学分野で結晶の科学は20世紀著しい進歩をした。当方も高分子前駆体を用いた半導体用高純度SiCの合成研究でSiC微結晶生成の反応速度論を研究し、貢献している。しかし、非晶質については科学の進歩はほとんど無かった。
非晶質の定義すらできていない。結晶以外は皆非晶質体である。非晶質体の中にガラスと呼ばれる状態があることはわかっているが、ガラス状態をとらない非晶質物質が存在し、そのような物質からガラス状態を作る方法が分かったのは20世紀末である。それでも全てのガラス状態を持たない非晶質物質に適用できる方法では無い。
非晶質に関する研究は21世紀の課題の一つで、高分子自由体積に関する研究は毎年高分子学会の研究報告で必ずある。このような状況だから高温短時間処理で科学的にどのようなことが起きているのか説明はできない。しかし、妄想のシナリオを書くことは可能である。
妄想のシナリオに基づき思考実験を行い、実際の実験条件を決め、実行して結果を出す。当然実験は試行錯誤になるが、それでも工夫次第では効率を上げることができ、工場を使って2日ほどで実現できる技術を創り上げた。
そのプロセスでできたフィルムを解析し、Tg以下のアニールでできたフィルムと高次構造が異なるらしいことと、それをサポートする粘弾性データが得られ、特許を出願した。特許は科学論文ではなく技術の権利書であり、科学的に不確かなことでも権利化可能である
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