2014.12/15 高分子の難燃化と評価技術(1)
燃焼とは急激な酸化反応で進む現象なので、どのような火災の状況でも絶対に燃えない有機高分子は存在しない。
ゆえに火災時の燃焼対策としてとられる高分子の高機能化について、高分子の不燃化とは言わず、難燃化という表現が用いられている。
燃える物質と燃えない物質という境界が明確な材料群ならば、その評価技術を一義的に決めることができそうだが、「難燃性」とか「燃えにくさ」という曖昧な尺度に対して、唯一の客観的評価技術を開発することは、直感的に難しい作業になると想像できる。
もしそれをイメージできないならば、具体的な火災を思い浮かべればよい。
火事の現場検証では最も黒焦げになっているところが注目される。そこは酸素不足で高温度に曝された可能性が高く、そのような現象が起きるのは火元と考えられるからだ。
本当に火元だったかどうかは、その他の状況証拠との組み合わせで決められるそうだが、火災の現場を観察すると、高分子の燃え方が一様ではないことに気がつく。
このような状態を実験室で再現しなければならない評価法とは、高分子材料そのものの燃えにくさの数値化以外に様々な因子の絡みあいを盛り込まなければならず複雑になるであろう。
pagetop