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2014.12/16 高分子の難燃化と評価技術(2)

30年以上前にJIS化されたLOIは、酸素と窒素の混合気体の雰囲気の中に長い板状のサンプルを立て、その上方から着火して燃焼状態を観察し、継続して燃焼するのに必要な最低限の酸素濃度で高分子の燃えにくさを数値化する試験法である。

 

測定法の定義から一見理にかなった燃焼試験に思えるが、経済性の視点で高分子の用途を眺めた時に、実火災においてこの尺度で決められた序列が適切ではない場合もある。

 

例えば、空気の酸素濃度は21%程度なのでLOIが22以上となるように難燃剤を添加して寝具が材料設計されていたならば、寝タバコの火が寝具に着火した時に空気中で燃焼を継続することができず、自然に火が消えて燃焼は広がらない。

 

しかし、LOIが21以下でも燃焼が広がらない材料がある。それは熱で簡単に溶融し消火するように設計された材料である。

 

このような材料では、たばこの火の程度であれば、溶融時の吸熱効果で火が消える。

 

この考え方で、高価な難燃剤を用いずPETボトルの廃材を80wt%含有する射出成形可能な難燃性樹脂を四年前に開発した。この樹脂の20wt%の他の組成は、射出成型が難しいPETを易射出成形性にするための成分と靱性を改良する成分、溶融型で難燃性を向上する成分とからなる。

 

すなわちこれは強相関ソフトマテリアルの概念で設計されコンビナトリアルケミストリーの手法で開発された材料である。

 

この材料は難燃材を添加していないPETが主成分の樹脂なのでLOIは19以下であるが、UL94-V2試験を行うと自己消火性を示し合格する。

 

LOIが19前後、すなわち空気中で燃焼し続けると評価された材料でも自己消火性を示すことについて不思議に思われるかもしれない。これは、サンプルを垂直に立て上から着火するというLOIの試験方法にも少し原因がある。

 

 

カテゴリー : 連載 高分子

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