2015.01/14 混練プロセス(10)
二軸混練機として購入された設備でもへぼな設備であれば樹脂を混練できない、と説明しても、その設備の所有者はなかなか理解できないようだ。一応ストランドを轢くことができ、ペレットも作成できる。しかし射出成形体の力学物性が上がらないのは、処方の責任と言い出した。
KOBELCOの装置で混練した同じ処方だ、と説明しても、条件があっていないのでは、といろいろ言ってくる。ダメな設備ではだめである、と若いころ社会党の党首が言った言葉と同じようなことを言ってしまった。だめな二軸混練機でも樹脂を押し出すことが可能なので素人は問題がどこにあるのかを理解しにくい。
同様に現在の二軸混錬機による混練プロセスがバンバリーとロール混練のプロセスと比較して混練レベルが低いことを理解している人は少ない。現在のKOBELCOの技術をもってしてもバンバリーとロール混練を組み合わせたプロセスの技術を二軸混練機で実現することは困難である。
このことを理解していると、樹脂の混錬で目標とすべき混練レベルを見極めたいときにバンバリーとロール混練のプロセスを検討しようという発想が出てくる。
15年ほど前にパルプとPEの混練を検討した時に躊躇せずバンバリーとロール混練プロセスで行い、異臭のしないポリスチレン同等の力学物性と成形性を有した複合材料を開発できた。
同じ時期にKCKと呼ばれる連続式混練機で製造されたパルプ樹脂の複合材料が存在したが衝撃強度と異臭の点でバンバリーとロール混錬による場合よりも物性が劣っていた。
混練プロセスは混ぜることと練ることを満足できるレベルで実現できるプロセスとして作り上げねばならないが、二軸混練機だけではそれが難しい場合がある、というのが現在の技術レベルである。混ぜることはできるようになったが練る技術について未完成であるのが二軸混練機である。
カテゴリー : 高分子
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