2015.01/27 混練プロセス(22)
二軸混練機の運転で難しいのは、スクリューセグメントの設計と混練温度である。スクリューセグメントについては押出機として使われていた時代から様々なデザインのスクリューがある。スクリューを眺めているとその時代の技術者の思いが伝わってくるようなものもある。
30年以上前に二軸混練機を使用していた技術者は、あまり練を意識していなかったように思われる。混合を促進する構造のスクリューばかりである。ローターを発明した技術者は恐らくこの点に着目したのかもしれない。この30年間に様々なローターが開発されている。
上海近郊にある某大学で混錬を研究しているという先生の紹介を受けた。ポリエチレンにナノカーボンを分散する研究を行っているという。そして、その先生の独創とされるすべてロータで構成された混練機を見せられた。
押出機と組み合わせて使用するような構造で、実験室には、それも独創の押出機と組み合わせて、システムとしてオリジナルな設備だと説明していた。そしてそのシステム構成に秘密があり、詳しくは教えられない、と言ってきた。
どこが秘密なのかさっぱりわからなかったが、ナノカーボンの分散に成功したと言われるポリエチレンシートを見せられた。真っ黒なポリエチレンシートを渡されたが、その電顕写真はこれから撮影するのですぐに返せという。怪しげな説明である。
その後混錬の講義をするというので、1時間プレゼンテーションを聞いたが、一般の教科書に書かれた内容の後に独創と称するロータの写真が少し述べられただけのがっかりする講義だった。混練機のシステムやロータが独創であることを何度も聞かされたがその性能の発揮された十分な証拠を見せていただけなかった。
現地通訳を介しての説明なので我慢していたが、プレゼンテーションが終了してからウトラッキーのEFMの評価を聞いたところ、ウトラッキーなど知らない、といい、EFMはなんだ、と聞いてきた。伸長流動装置のことだ、と言ったら、どんな構造をしている、と聞いてきたので、議論をやめた。
カテゴリー : 高分子
pagetop