2015.02/22 イノベーション(13)戦略2と3
比較的簡単で誰にでもでき、当たればイノベーションという戦略が次の2つである。
戦略2:オブジェクトの隠れた機能を探し出す。
戦略3:オブジェクトの特徴となっている機能を無くしてみる。構造は残す。
戦略2と3は、別々に実行されてもよいが、一対として実施する場合もあるので、ここで一度に紹介する。まず、当方の開発事例を簡単に紹介する。
転職して奇妙に感じたテーマは多かった。ゴム会社と写真会社の違いと言ってしまえばそれまでだが、この事例ぐらい奇妙に感じたテーマは無かった。すなわち皮膚感作性のある物質Hを感材の下引層からなくそうと企画されたテーマである。
工場の作業環境において物質Hは問題になっていた。そのため毎年工場から脱Hという開発テーマ依頼が来ていた。しかし、このような依頼テーマがあるのに、新製品開発では必ずHが使われていた。理由はHを使わないとPETと乳剤の接着力が弱くなるためである。
開発の最初に脱Hも目標の一つに入れて開発を始めるのだが、乳剤と支持体PETとの接着の役割をしている下引層からHを取り除くと接着力が弱くなり、製品の仕様を満たせない。結局開発期間の最終週あたりでHを添加し製品を完成するという繰り返しが行われてきた。
脱Hだけを取り上げたテーマをやらなかったのか、というと過去に何度もトライして失敗し、結局新製品の時に一緒に技術開発する習慣になったという。たしかに失敗のリスクが高いテーマを製品開発テーマに忍ばせて行う方法は頭がよい、と感心した。一方そのようなテーマの取り上げ方だったので解決するわけがなかった。(続く)
カテゴリー : 一般
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