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2015.02/26 イノベーション(17)戦略4と5

模倣によるイノベーションについて、さらに二つ説明する。戦略4は、オブジェクトの特徴となっている機能の理想形を追求する、であり、戦略5は、オブジェクトの特徴となっている機能を隠してみる、という二つの戦略である。これらは、複写機用の部材である6ナイロンを相溶させたPPS中間転写ベルトで実行された。

 

カラー複写機には、YMCKの4色のトナーで紙に情報を書き込む前に一度ベルトの上に情報を書き出し、それを紙に転写する機構の製品がある。いわゆる中間転写方式のカラー複写機で採用されている機構で、きれいな画像を得るためには直接転写方式よりも良いと言われている。

 

中間転写方式のベルトではトナーを静電気でベルト上に固定するため、帯電しやすい高抵抗の半導体ベルトが使用されている。ベルト面の抵抗を均一にするために、カーボンとポリイミド(PI)を溶媒を用いて混合した溶液をキャストして製造されている。ゆえに見かけは単に黒い樹脂ベルトであるが大量生産されていても1本が5000円以上の高価格である。複写機の部品代ではさらに高い値段がつくことになる。

 

もしこれを熱可塑性樹脂を用いて押出成形で作ることができれば大幅なコストダウンと溶媒を用いないことから環境負荷低減のために貢献することになる。しかし、押出成形はキャスト製膜よりも荒っぽい成形方法であり、ベルトの面内の抵抗を均一にするための成形技術は困難であり、どうしても面内抵抗のばらついたベルトとなる。しかし技術開発の努力が実り、低価格のプリンターでコストを下げるために一部押出成形のベルトが使われ始めた。

 

これを100万円以上の複写機にもPIベルトの代わりに使用できるように長年開発努力が続けられ、1年後に製品搭載へという状況でテーマを引き継いだ時に用いた戦略が、冒頭の二つの戦略である。開発フェーズが最終段階であり、処方もプロセスもいじることができない状況で、改良しなければいけない、難しい状況だったが、これを現在開発されている技術の模倣を行う考え方で二つの戦略をとった。

(続く)

 

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