2015.03/02 イノベーション(21)戦略6
オブジェクトの特徴となっている機能を異なるオブジェクト上で実現してみる、いわゆるそのまま真似をするのでパクリ戦略でもあるのが戦略6である。パクリではあってもイノベーションを引き起こすことが可能である。
写真フィルムの乳剤に力を加えるとそれだけで感光することがある。いわゆるプレッシャーかぶりで、乳剤の保護層を制御して起こりにくくすることは可能である。この保護層の制御に制振の考え方を導入し、振動を制御する技術をそのままパクリ用いたところうまくいった事例がある。
ゴムにマイカ(雲母、平板な結晶構造が特徴)を添加して制振性能が発現されることは30年以上前から知られていた。これを写真の保護層にそのまま用いたところプレッシャーかぶりを改善できたのだ。
幸いなことに制振技術は公知であったが、写真フィルムにマイカを添加するのは新規であったので特許出願できた。この技術はその後発展し、銀スラッジ防止とプレッシャーかぶりの両者を改善できる技術に結びついていった。
すなわち、Aという分野では常識になっている技術でも異なるBという分野でも常識になっているとは限らないのだ。異なる事業分野の技術がイノベーションのきっかけになることが多いので、異業種交流の重要性がある。戦略6は活用する機会の多い戦略である。
カテゴリー : 一般
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