2015.03/05 イノベーション(24)戦略8
戦略8:オブジェクトの特徴となっている機能の数や機能する方向を変えてみる、というのは比較的簡単にできる。たとえば、まねしようとしている製品について、一つの機能しか無いところを二つに増やしたり、立てて使用する製品を横にしてみたりしてイノベーションできないのか探るのである。
もしこの戦略でうまくゆかなければ、これまで説明した他の戦略でイノベーションを行えばよい。戦略8は簡単にできるので、わざわざ戦略の中に入れなくてもよいかもしれない。しかし、人間は簡単なことでもすぐに実行できないものである。
コロンブスの卵などはそれを戒めた事例であり、この戦略8も忘れないようにいつも頭の中から取り出せるようにしておくとよい。
40年近く前一つのシリンダーに二つのプラグを取り付けたエンジンが登場した。排ガス対策のために考え出されたアイデアらしいが、派手な宣伝を行っていた。明らかにコストアップになる方法だったが、あたかもスポーツ車は皆その技術が採用されるようになりそうな宣伝だった。
残念ながらその技術は普及せず大きなイノベーションにはならなかったが、2プラグエンジンはZエンジンとして20年間生産された。実は一部のレーシングカー用のレシプロエンジンやロータリーエンジンには二つプラグがある。
どちらが本家か知らないが、レシプロエンジンのシリンダーに二つプラグを取り付けたZエンジンは、オリジナル技術では無かった。しかしプラグを二つにする目的が環境対策であり、目的や効果が異なるので、プラグの位置や形状その他の未知の因子を組み合わせて特許化可能である。
当時読んだ自動車雑誌に酷評が載っていたことを記憶しているが、Zエンジンは一つでも大丈夫なところを何かのまねをして二つ取り付けて成功した事例と思っている。一つでよいところを二つにするのはコストアップになるから普通は発想しないが、安直な方法でよい結果が得られる場合もあるので実践する価値はある。
カテゴリー : 一般
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