2015.03/06 イノベーション(25)
イノベーションとは、新しい価値を創造しそれを市場へ提供すること、と言われるようになったが、「創造」という言葉が入っているので、真似をしていてはイノベーションではないと言われそうである。
しかし技術の発展史を眺めてみると、結局何かの真似をしてイノベーションのきっかけが起きている事実に気がつく。かつて科学を重視し、技術革新を科学の力で、と叫ばれた時代があったが、科学は哲学の一つである。うまい真似のコツ「8つのマネべーション戦略」も同様に哲学の一つと思っている。
かつて有機物からセラミックスを合成するという大きなイノベーションを行ったが、事業化まで長い道のりだった。1982年に着想し、1983年10月に無機材質研究所で技術の実証に成功した。1984年に2億4千万円の先行投資を受けてパイロットプラントを建設したが、1990年住友金属工業とのJVスタートまで6年間苦しく楽しい死の谷を歩くことになった。
この経験からもっと効率的なイノベーションの方法がないのか写真会社で模索した。そこで思いついたのが徹底したマネベーションである。多くの新しい成果を生み出すことができ特許を300件近く書くことができた。
真似を心がければ専門外の技術でもイノベーションを引き起こすことが可能と考えている。実際に専門外であったフィルムの表面処理について転職してすぐに成果を出すことができた。
マネベーションは強力な新技術創出法だが、真似をしようとするオブジェクトについて優れた機能のオブジェクトを選ぶことが大切で、そのためには技術の目利きになれるように日々努力する必要がある。
カテゴリー : 一般
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