2015.04/11 実験のやり方(9)
科学的に未解明な領域で仮説を立てて実験を行う、という科学的手順で問題解決するプロセスは、よほどの賢人でない限り選ばないほうが良い。あのノーベル賞受賞者の山中先生でも、そのような方法ではなく、あみだくじ式実験で大当たりを引き、ノーベル賞を受賞されている。
当方の説明よりもヤマナカファクター発見の事例のほうが権威があるが、おそらく山中先生はそれを問題解決法の優れた事例として説明されないだろう。また説明しずらいお立場である。だから活動報告で当方の実体験を公開しているが、本来は山中先生に大きな声で科学に縛られるな、と警告を発してもらいたいぐらいに思っている。
もう少し本能的な実験のやり方が見直されても良い。本能的な実験のやり方、といっても単なる思いつきの実験ではない。機能実現のための本能的な実験である。機能実現のための本能的な実験に成功した時には、ものすごい快感あるいは感動が得られる。
このものすごい快感が得られるという理由で本能的実験と表現しているのだが、山中先生もiPS細胞を生み出すヤマナカファクターを発見された時には、同様の快感を体感されたのではないだろうか。仮説を立てて実験を行い、仮説の正しさを実証できた時にも感動が得られるが、本能的実験の結果得られる感動はその比ではなく快感でもある。
できるかどうかわからないものが解決できてしまうのだから、達成感どころではない。ところがこの感動を職場であからさまに出してはいけない。人のいないところで味わうように注意すべきである。反感や妬みを買う恐れがあるからだ。思わず出てしまうドヤ顔も、できるならばしないほうが良い。
科学的に未解明な領域で科学的に問題解決することが、いかに時間や費用がかかるかはSTAP細胞の騒動を見れば明らかである。おまけにリスクもある。しかし、その領域で機能実現のための実験は可能である。科学的な説明は難しいが、ヤマナカファクターのように幾つか機能を実現した実例がある。
当方の経験でも、リアクティブブレンドによる高純度SiCの合成法や、電気粘性流体の耐久性をあげる第三成分の開発、ゾルをミセルに用いたラテックス重合技術、ポリスチレンとポリオレフィンの相溶技術、PPSと6ナイロンの相溶を実現したカオス混合技術、リサイクルPETを用いた難燃剤を用いない環境樹脂など科学的に証明ができない事例は多い。
これらは、機能実現のための実験により生み出された事例なので、未だになぜ、その方法なのかあるいは何故できたのかについて、科学的証明が成されていない。あのヤマナカファクターについても、未だ経験的に見出された状態に近い。
カテゴリー : 一般
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