2015.05/20 問題解決(17)
中国は80%近くいた農業人口を30%に減らし、生み出した労働力を第二次産業へシフトして工業国へ変わろうとしている。経済特区では建設ラッシュがおき、すさまじい早さで町が生まれ変わっている。
中国の景色を見ていて心配になるのは荒れ果てた農地である。おそらくこのまま進むと、中国は農産物の輸入を大幅に増やさなければいけなくなるのではないだろうか。さらに一人っ子政策の影響で人口構造が変化して国を支えていた産業システムまで変わるのである。
10億人を超える超大国のシステムの変化は、世界に大きな影響を与えるに違いない。この影響を予測しにくいのは、共産主義という政治体制をそのまま維持して産業システムだけを変化させようとしているからと思っている。中国の政治システムは中国研究家に質問しても難しい問題だという。
例えば今の習近平体制を予想した専門家はいないと言われている。自動車という商品を基に企業の経営システムを想像するレベルではないようだ。三菱自動車で最初にリコール隠しが告発されたときに、担当者が市場の品質レポートをロッカーに隠していたと報道された。
この報道から会社のシステムが垣間見えた。しかし大きなシステム変更が行われなかったので再発した。この再発は、多くの人が予測できたのではないだろうか。当時の新聞や週刊誌には辛辣なことが書かれていた。
大企業で問題が起きたときに、その問題から社内のシステムを想像できるのは、事務の合理化や標準化が進んでいるからだ。中国について研究者がそのシステムを描いてみても、どのように将来動いてゆくのか見えないという。これは中国研究者の責任ではない。システムを科学的に描いている限り、中国の正しいシステムを描き出すことはできない。
面白いのは中国企業のシステムも国同様にうまく描くことができない。まったく標準化が進んでいないヒューマンプロセスのシステムだからだ。人件費が高騰して倒産する企業が出てきた、とニュースで報じられているが、人件費の高騰で倒産している企業は、ほんの少しではないかと推定している。信じられない理由で倒産している多くの企業が存在するらしい。
倒産する企業が増えても強引に第一次産業から第二次産業へ労働力を移そうとしている中国のシステムは、国も企業もきわめて不透明である。ゆえにそこで発生する問題について意見が分かれるのは当然のことだろう。10年前に書かれた「10年後の中国はこうなる」という本を読み返したが、一部あたっているが外れている部分が多い。その昔「ジャパン・アズ・No1」というベストセラーもあったが。
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