2015.06/07 成形技術の難しさ(射出成形の場合)
樹脂を射出成形して目標とする成形体を製造する技術は、混練技術と一体に考えるべきである。射出成形技術だけを取り出して研究できる因子には制限がある。射出成形体には少なからず混練プロセスの影響が残っている。例えば混練プロセスでエラーが発生すると射出成形体にもその影響が出る。
光学用レンズを射出成形で製造する場合にこれが大きな問題となるにもかかわらず、軽く扱われているように思っている。アカデミアで研究しても面白いテーマが存在するが、多くは工程の品質問題として観察されるので、アカデミアまで情報が届かない。
光学用ポリオレフィン樹脂のTgが混練で変化する話を以前この活動報告で書いた。射出成形工程で材料が平衡状態になるようなことなどあり得ないので、混練工程で観察される現象のいくつかは射出成形工程でも起きる。ただその影響が大きく出るかどうかは確率の問題である。
ただ一種類の光学用ポリオレフィン樹脂を用いたつもりでも射出成形体の内部構造としてTgの異なる成分が少なからずできる。それが多くなると射出成形体でエラーとなって現れる。だから確率に依存する問題、と推定している。
射出成形体により複屈折が変化したり、耐熱性が変化したり、光学的歪みが変わったり、様々なエラーは、以前書いた混練プロセスで観察された現象と発生機構は同じであるが、射出成形を担当している人は機械屋が多いのでそれに気がつかない。ご相談頂ければ対応方法をご教示いたします。
カテゴリー : 高分子
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