2015.07/23 未だ科学は発展途上(2)
超音速滑走体については、大学時代にお遊びの実験という批判があった。東海道新幹線でさえも早いと感じていた時代で、それより早い乗り物を希望するならば飛行機がある、という意見もあった。確かにロケットエンジンをつけて直線を走らせているだけの実験は、門外漢には実用化にほど遠く見える。しかし、陸上を音速以上で走る乗り物を実現できれば飛行機特有のリスクを解決できるので面白いアイデアの一つであり、研究に対する批判は夢の無い意見である。
大学に進学した時に新聞や雑誌からも超音速滑走体の文字がすっかり消えたので、昔の新聞の切り抜きを学生時代に処分した。名城大学の実験記事には子供のころ少し胸が熱くなったりもしたが、化学に興味があったので新聞の切り抜きを集める程度以上にはのめりこまなかった。だから鍋田干拓の実験場まで見学をした経験もない。
しかし研究の最盛期にはTVで実験の様子が毎日のように映し出されたりしたので今でも鮮明な記憶がある。マッハ2のスピードで滑走するロケットのような滑走体に亀を載せた実験では、滑走体がストッパーに激突したのに、奇跡的に亀は生きていた。なぜ亀なのか、と不思議に思ったこともあったが、東京-大阪間が12分で結ばれる時代とはいかなる世界か、と夢が膨らんだ。
今日本のリニアモーターカーが最も早い乗り物と騒がれているが、東京-大阪間は67分かかる。リニアモーターカーのニュースを見て、昔亀が人類よりも早い乗り物を体感したことを思い出し、当時なぜ亀を載せたのか今頃になって理解できた。
リニアモーターカーでも超音速滑走体の1/5以下のスピードである。技術が科学に追いついていない分野であるが、このような分野はいくらでもある、と最近思うようになった。一方で、物理の分野でも化学の分野でも技術のほうが先行し、科学がそのあとをおいかけるようなシーンがときおりみられる。
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