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2015.09/14 災害と住宅

今回二つの台風の影響による水害は、50年来とのことと報道されていたが、40年前の1974年に起きた台風16号による多摩川氾濫を忘れていないか。当方はまだ上京前の学生時代だったが、その後この水害を扱った「岸辺のアルバム」が中日新聞に掲載されていたので記憶していた。
 
さらに、この新聞小説が映画化されたときには当時の災害の実写フィルムが使用され、多摩川沿いに立っていた家が流されてゆくシーンが映し出された。記憶が正しければこの家は、木造の2x4住宅で耐震の高い造りだった。
 
今回の災害では、水害でびくともしなかったヘーベルハウスがネットで話題になっている。これは茨城県常総市鬼怒川の氾濫で多くの木造住宅が水流で破壊され流されてゆくのに白い建物が踏ん張っている様子が全国に放映されたからである。
 
ご近所で某社製鉄骨住宅の建設が行われていたので、その現場をのぞいてみると頑丈な構造体を見ることができた。へーベルハウスに限らずこのような鉄骨とそれを支える頑丈な基礎で建てられた構造体の家では、木造住宅のように基礎から離れて流されることはないのだろう。ただ1974年当時は、基礎から離れて流されても筺体が壊れなかったことから2x4住宅の堅牢なつくりが話題になっていた。
 
何か災害があると住宅を始めとした生活のインフラの脆弱性あるいは逆にその堅牢性が話題になる。かつてゴム会社のパネル水槽は、市場占有率が低かったが1983年の日本海中部地震でその頑丈さが話題になり、一気に市場占有率を伸ばした。
 
この時は、この業界で後発のゴム会社が最新の耐震設計で商品を出していたことと市場占有率が低く震度のひどかった地域に販売されていなかったことが寄与した。商品の中にはその品質を一生に一度遭遇するかどうかわからない事象で保証しなければならない項目がある。このような項目の品質設計はメーカーの技術力だけでなく品質に対する哲学の影響を受けると思われる。
 
例えばゴム会社では、新製品開発において必ず商品化前に実車テストが繰り返し行われるが、新入社員時代はそこまでやるのか、とあきれたぐらいである。しかし、長年自動車を運転してきて当時見学したテスト風景に今では納得している。
 
科学的品質管理と言われるが、科学という哲学の視点だけで満足してはいけない領域があることを銘記すべきである。ちなみにこのゴム会社では30年以上前から免除振装置を販売しており、今でも最初に設置された装置を抜き取り点検で定期的に取り外し調査している。新事業としてスタートする時に開発されたシミュレーターで、科学的には100年以上の耐久性のあることが確認されているが、予測と実際の結果との比較を行っている。
 
防災に対しては科学的に得られた結果から100%安全と、油断してはいけない。原発は科学的に安全な究極の発電システムといわれたが福島のような状況になっている。

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