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2015.09/20 「BOOKSV」サービス終了

富士通の電子書籍サービス「BooksV」が2015年9月29日(火)で終了になる。今利用ユーザーへ丁寧な連絡が届けられているときだが、難しい問題が潜んでいる。リアル書店ならば店じまいだけで済むが、電子出版では、バーチャル空間の本をどのように処理するかが問題になる。店じまいとともに書店の本だけでなくユーザーの購入した本も無くなってしまう、あるいは読めなくなってしまうのである。
 
弊社も4年前電子出版事業を創業と同時に開始したが、売り上げの問題と事業に失敗し閉店したときのリスクを再検討し、結局ユーザーが少なかった、開店して1年半の時に店を閉じたいきさつがある。すなわち電子出版では、閉店するときにかなりのコストがかかるが、閉店の事例が無いので、それが見えないという問題がある。これは原子力発電と同じである。
 
原子力発電は、福島原発の例を見れば明らかなように、ひとたび事故にあい廃炉となると一国の一年間の予算が吹き飛ぶような費用がかかる。この点は電気会社から知らされていない。また費用の問題以外に放射性廃棄物の捨て場所すら未だに決まっていない状態である。
 
事業をやってみて賢くなった点は、事業は失敗したときの費用まで考えてスタートすべき、という当たり前のことが結構難しい問題である、ということだ。一番難しいのは失敗したときの事業の状態を見積もる点である。これを簡単にできる方法があればどなたか教えていただきたい。
 
弊社の事業の一つだった電子出版は、当時早めに閉店した方が費用がかからない、と判断し、苦渋の決断で中断した。借金は残ったが会社を継続しながら何とか返却できる規模である。今事業を再構築中で今年度中に定款を書き直すかどうか決断したいと考えている。
 
さて、富士通の始めた電子出版サービスだが、ユーザーに書籍のダウンロードを促しており、ダウンロードすればいつでも読める、と謳っている。この「いつでも」読める、と言う点をどう解釈するかである。
 
例えば万葉集であれば、千年以上前の書籍を今でも読むことが可能である(当方は眺めることしかできないが)。しかしデジタルデータの千年後はフォーマットも変わっているだろうし、そもそもデジタル端末の千年後など予想がつかないのでオブジェクトを見ることができなくなる、と言っても過言では無いだろう。
 
ユーザーの寿命は高々100年前後なので千年以上の心配はナンセンスかもしれないが、改めてリアルな「本」の偉大性に気づくことになった。

カテゴリー : 一般 電子出版

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