2015.10/27 知識労働者の時代
昨日のレジ担当を知識労働者として扱ったことに違和感を持っている人がいるかもしれないが、今世間を騒がせているマンションの基礎の「杭打ち作業」さえも知識労働として捉える必要があった、と指摘すれば、知識労働というものが、単純な高い専門性を要求される仕事だけでないことに納得していただけるのではないか。
アルビントフラーが指摘した「第4の波」は、過去の肉体労働を機械で置き換えるだけでなく、新たな知識労働を生み出した。すなわち、機械ではできない、あるいは機械で置き換えるとコストがかかる,人間にしかできない仕事を創りだしたのである。
また、過去において肉体労働として誤解されていた知識労働も存在し、第4の波は、それらの労働も知識労働であることをクリアにした。例えば職人の仕事はその例の一つであり、機械で置き換えることが可能な仕事は機械で置き換えられ、そうでない仕事は今も残っており、それらは知識労働として認められ保護し未来まで暗黙知を伝承しようと検討されている。
先進諸国では、ホワイトカラーの合理化が進められ、知識労働の仕事がかなり減少したが、過去において肉体労働として見られた分野について、知識労働としての見直しが進んでいない。その結果発生したのが旭化成の子会社で起きた杭打ち作業における不正問題である。
杭打ち作業をマンションの品質を高めるために要求される、「知識が必要な仕事」として考えていなかったために、作業者に対して十分な研修を行っていなかったばかりか、親会社役員の口からいい加減な作業者と語らせるような人材配置になっていた。
故ドラッカーがすでに指摘したように、現代の仕事は知識が必要なので、それに携わる人は皆知識労働者なのである。職人には暗黙知が重要で、レジ担当はその店独自のソフトウエア―に裏付けられた研修で教育されなければ売り上げ増加につながらない。杭打ち作業者には、その作業についてマンションの品質に与える影響を知識として身につくように十分に教育しなければいけなかった。
カテゴリー : 一般
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