2015.12/01 三菱自動車の諭旨退職処分
三菱自動車は、2016年に予定していた主力車「RVR」の開発に失敗した担当部長2人を諭旨退職とし、相川哲郎社長の役員報酬の一部自主返納や執行役員ら2人を降格する処分を11月1日付で行ったというニュースが報じられていた。「開発段階で上司への報告が不適切だった」ことを処分の理由としている。
社長はじめ役員一同も処分とされており、担当した部長が降格ではなく諭旨退職というのは、厳しいように取れるが、社内の制度や風土によっては降格よりも温情処分となる。
三菱自動車と同様の状況で、部長が降格になる会社もあるだろう。写真会社ならば、どのような処分になるか20年勤務していても想像できない。三菱自動車と同様の事例も見てきたし、膨大な赤字事業を行いながら常務までなられたという、さらに温情的なシーンも見てきた。
企業において、ミッション遂行に失敗した時に最近の日本企業では管理職や役員の処分が厳しくなり、それが稀に公開される。これは良いことだと思う。すなわち、ミッションに失敗した時に責任をとれないような経営者や経営幹部に運営されている会社では、昨今のグローバル競争が厳しい状況で生き残れない。
今回のような公開は、企業の生き残りをかけた厳しい姿勢を株主に見える化できる。このため、今回のようなケースでは株主を意識した対応と言われることもある。
ところで、諭旨退職とは、懲戒解雇よりも温情的な措置として行われる退職手続である。一般には自己都合退職に相当するのか解雇に相当するのか、その境界は不明瞭だ。
不明瞭ではあるが、部長職として必要なコミュニケーションスキルが求められた、という視点で、規則違反の理由が述べられているので、一応規則違反による処罰であり、部長職として評価したうえでの納得のゆく手続きとなっている(注)。なので、今回は退職金が支払われている可能性がある。
管理職に対し評価が厳しくなっているのが最近のサラリーマンの状況である。そのため出世しても大変だから今のままの方が良い、と言っていた上司がいたが、おそらくこの上司は出世したことを後悔していたのかもしれない。しかし給与を増やす方法が出世以外にないサラリーマンにとって厳しくても昇進に努力するのである。
(注)本人が納得するかどうか、という別の問題が存在する。他の誰が推進しても失敗したであろうテーマを自ら現場に入り短期に成功させても、部長職としての加点は得られず退職金が増えない、という逆の例も、評価としてもう少し考慮してくれても、という思いは残ものである。このとき、すべてに誠実真摯な人事評価がされておれば、納得できる風土となるだろう。人事評価の平等性は、重要なことである。
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