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2015.12/04 管理職の仕事(2)

研究開発部門の管理職は、1組織1名おれば十分だろう。組織単位をどのように考えるのかは、経営者の仕事である。ところがこれを中間管理職にやらせるから、あるいは、たたき台の作成を任せるから、管理職が多くなる結果を招く。
 
豊川へ単身赴任し、前任者からPPS中間転写ベルトの開発業務を引き継いだ。マネージャーが2名いて、そのマネージャーにグループリーダーである当方の仕事を分担したら何も業務が無くなった。おまけに前任者が院政状態のマネジメントを行っていたので、高い給与の割には、業務は0以下と大変良い環境だった。
 
単身赴任の5年間、故ドラッカーが定義づけたマネジメント、すなわち成果を出すために知識の適用の仕方を考える知識を実行できるチャンスとなった。院政状態のマネージャーと組織に本来不要なマネージャーのおかげで、教科書通りのマネジメントを遂行するとともに自ら実験できるチャンスができた。
 
当時の組織の成果とは、1年後の本体量産試作に間に合わせてPPS中間転写ベルトの量産体制を整えることだった。引き継いだときは、外部のコンパウンダーからできそこないのPPSコンパウンドを購入し、押出成形で無理矢理数本生産できている歩留まりの悪い状態だった。
 
前任者の成果として、歩留まりが極めて低いままでPPS中間転写ベルトを無理矢理安価なプリンターに実用化(注)した実績があったので、担当した業務を周囲に納期通りできません、といえない状態だった。すなわち、存在するはずのない技術の最終完成形を作るのが必達のゴールになっていたのである。
 
このような状態では、技術ができていない状態と考え、1年後の本体量産試作に間に合わせるために、どのような知識をどこから調達し、どのようなタイミングで展開してゆくのか、戦略と戦術を白紙状態から創り上げるという仕事を一人で担当できるチャンスとなり、弊社が販売している研究開発必勝法を実戦で試せるチャンスでもあった。
 
 
(注)なぜ実用化できていたかは、ここで詳細を書けない事情がある。

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