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2016.01/27 21世紀の開発プロセス(14)

1980年代のセラミックスフィーバーでは新事業開発ブームも同時に起きていた。そしてバブルがはじけた頃は、その反省会のようなテーマが各種事業研究会などで議論されていた。
 
例えば、旭化成は、1967年にヘーベル板の開発を行い、住宅建材事業に進出しているが、もとは、繊維や肥料の化学メーカーだった。それが石油化学をコア事業にした企業へ、そして住宅建材メーカーへ、現在は電池事業も含む医薬医療エレクトロニクスをコア事業とする企業へ変遷している。このような事業多角化に成功していたメーカーは、良い事例の題材となった。
 
このような会社のDNAには、多角化能力が組み込まれており、事業ごとに単純な規模拡大だけでなく、次の事業への展開を考えていると説明をうけた。そして一度始めた事業からはなかなか撤退しない。加えて、新規事業の企画を10年サイクルで実施しているともいわれていた。
 
小生には、単に多角化するバイタリティーだけでなく異業種との提携力が重要と思われた。それについて今回の杭打ち問題でも表に出てきたように、ヘーベルハウスという強いブランドが有りながら、建築業界に根付いた事業の展開をしていることからも再確認できた。
 
FC棟が建設された時に、試作した粉体をマーケティングしながら共同開発パートナーも同時に探していたが、市場がゴム会社にとって異業種分野であり苦労した。また、高純度SiCを扱う技術そのものが当時普及していなかったので、駄馬の先走りとも揶揄された。
 
高純度SiCの事業は、住友金属工業(株)とのJVで立ち上がり現在まで継続されているが、旭化成の事例を学びながら思いをめぐらしたのは、多角化能力のDNAがどのように獲得されたのか、と言う点である。しかし、多角化能力のある旭化成でも高純度SiCの事業は、仮にテーマ提案があったとしても生まれなかったのではないかと思っている。
 
なぜなら厳格なSTAGE・GATE法が研究管理手法として採用されていたからである。研究開発をスタートできたとしても早い段階でマーケットの成長が望めないテーマとしてボツになっていた可能性は高い。SiCパワー半導体の事業はこれから立ち上がる高純度SiCのマーケットである。

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