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2016.01/29 21世紀の開発プロセス(16)

写真フィルム会社にとって写真フィルムの市場が無くなる、というのは、タイヤ会社にとって乗り物のタイヤがすべて無くなる、あるいはすべてがFRPで作られるようになり製鉄会社の鉄の使用量が激減するというくらいのイメージである。定年を控えている立場でも、ものすごい恐怖があった。
 
このような状態で新事業開発という業務では、担当した事業を必ず成功させる必要があり、辞めるということを考えてはいけない。利益が出る事業として必ず成功させなければいけない。そもそも新事業開発とは、そのような心構えで担当すべきである。
 
会社の屋台骨を支える事業が利益を上げているときに新事業を開発するとうまく行かないのは、辞めても良い、という気持ちがどこかにあるからだ。いまどき競争の無い大きな新市場など探しても出てくるわけが無い。
 
企業の規模により、求める新事業の売り上げ規模は異なる。日本の大手企業の場合、最低でも10億円以上の売り上げ規模が要求される。このような規模の事業になってくると、必ず競争相手が一社以上存在する。ゆえに市場の30%を獲得したときに10億円以上になるように、という考え方がされる場合もある。
 
参入すべき新事業が決まり、開発がスタートしたならば、市場が拡大し続ける限り、新事業開発の歩みを停止すべきでは無い。市場が停滞もしくは縮小が見てきたなら、即座に中止すべきことは当たり前であるが、市場が形成される、あるいは成長しているときに新事業開発を辞める場合も前提にした開発では、新事業創出は難しい。
 
必ずその事業を立ち上げるために、基幹技術の開発を成功させる必要があり、この時、科学と技術をうまく戦術に組み込むことが可能な研究開発必勝法は役に立つ。すこしでも成長しつつある、あるいは拡大しつつある市場ですでに事業を行っているライバルと競合しても一定のシェアーを獲得できる技術が、科学的に得られる可能性は低い。
 
なぜなら今時科学で解明された新機能が放置されているマーケットを探すことは難しい。化粧品事業に成功したフィルムメーカーには、塗布やコロイド調製技術など多数のノウハウが蓄積されていたはずである。なぜならカラーフィルムの技術でトップを走っていた技術開発力に優れたメーカーである。

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