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2016.02/05 清原逮捕

清原元野球選手が、覚醒剤所持で現行犯逮捕されたという。本欄で取り上げた理由は、昨晩のTV番組で、1年前の彼の心境が語られ、その内容が人生の目標喪失という問題だったからである。
 
彼にとって、野球という職業は何だったのだろう、と考えた。また、いい年をして、という印象をうけた。人生の目標やビジョンは、社会人になったら皆持つべきである。知識労働者であれば当たり前のことが、野球選手には常識ではなかったようだ。スーパーマンや特別な人でない限り、目標やビジョン、夢は必ず持つべきであり、また、これは、お金や才覚が無くても誰でも持つことが可能(注0)である。
 
昔は宗教が精神の支えとなり、人生を生きることができたが、現在は無神教の時代で日本人の精神的支えが無くなってしまった。檀家制度も崩れつつあり、坊さんの失業もあるそうだ。まだ坊さんの覚醒剤犯罪が起きていないので救われるが、昔のヒーロー、歌手飛鳥の事件がまだ記憶に新しい。
 
覚醒剤がどれだけ気持ちの良いものか知らないが、覚醒剤より、というよりも本当に気持ちの良い体験を一度でも味わえば、二度三度その体験をしたくなるのは、人間の習性かもしれない。ならば健全な、そのような体験を早い時期に若者にさせるのは、良いことかもしれない。
 
若者に限らず、誰でも気持ちの良い体験は喜ばれるかもしれない。当方は、高純度SiCの発明をしたときに、天にも昇る感動をした。黄色いその粉を見て、そしてなめてみて、言いしれぬ快感を憶えた。それからゴム会社の先行投資を受けたときに、同様の感動を、さらに6年間我慢し(いわゆる開発の死の谷を歩いた期間)、住友金属工業とJVの契約を締結できた瞬間は、卒倒しそうであった。
 
いずれの快感もどのように伝えたら良いのか、表現の方法が無い。覚醒剤による快感がどれだけのものか不明であるが、生理活性の無い黄色い粉が大変な快感をもたらしたことは確かである。この度重なる快感は、いずれも明確な目標を定めてそれを実現できたときに、しかもほとんど自分でも難しいと思っていたときに得られた快感である。
 
だから、目標やビジョンは、高ければ高いほど、それが達成されたときの感動は、ものすごいことになる。これは味わったものでなければ分からないかもしれない。そして一度味わうとやみつきになることも確かであるが、写真会社へ転職してしばらく忘れていた。
 
ゴム会社における高純度SiCの仕事が無くなった喪失感も影響したが、会社の目標管理で、自己の目標も達成可能な低い目標になっていったからだ。これは会社の風土も影響する。ゴム会社には高い目標や夢をもつような創業者の理念や風土があったが、写真会社にはそのようなものがなく、代わりに極めて気楽に過ごすことができた。これはこれで良い風土であり、平々凡々幸福な日々が過ぎた。
 
再度ゴム会社同様に高い目標を設定したきっかけは、豊川へ単身赴任することになりがっくりきたときに頂いた、元無機材質研究所副所長の手紙だった(注1)。いつかこの手紙の内容は公開したいが、手紙を読みながら自然と涙が出てくる感動的な内容だった。その忘れた頃に届いた手紙のおかげで、再度高い目標を設定(注2)し、それを実現できて心臓発作でも起こしそうな快感を味わった。年をとってからの度を超した快感は命を縮める危険があるが、高い目標やビジョンを設定して生活することは、宗教を喪失した人間にとって大切なことである。
 
(注0)弊社ではそのための研修コースも用意しているので問い合わせていただきたい。目標やビジョンと言っても難しいものではない。一年先の目標を毎年立てるような生き方でも良いのである。一日先でもかまわない。当方も長期的目標と短期的目標を整理している。そして、夢は100歳まで元気に生きることである。若い人には分からないだろうが、50歳を過ぎた当たりから、健康の問題が幸福の重要課題となる。そのための準備を怠っていた当方は、早期退職をして最初に心がけたのは、体力を取り戻すことだった。「若さ」はかけがえのない宝であることをつくづく思い知った。
(注1)副所長には、社交辞令程度の年賀状しか出していなかった。当然当方の状況などご存じなく、東京の自宅に手紙が届いた。聖人とはこの副所長のことを言うのだろうと思われる手紙だった。そしてその手紙は「あの日」の真実を書いた手紙だった。やはり、「あの日」というタイトルは読み手にその回想が感動を与える著作物に付けて欲しい。
(注2)会社の方針目標とは別に、フローリー・ハギンズ理論にそぐわないPPSと6ナイロンの相溶や、カオス混合の発明を目標に設定した。いずれも博打に近く、実現がほとんど難しい目標に思えたが、生活に柱ができ、仕事も誠実に真摯に貢献だけを考え推進できた。不思議なのは、担当していた仕事が目標へ向かって動いている感覚あるいは幻覚があったことだ。覚醒剤に近いと思われるこの感覚に支えられて、カオス混合を実現した工場まで袋井に作ることができた。気がついたときには成果が出て、普通に仕事を進めていたら失敗していたテーマを成功させて、会社に十分な貢献ができた。

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