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2016.08/02 都知事選その後

東京都知事選で小池百合子元防衛相が当選し、自民党などが推薦した増田寛也元総務相が敗れたことについて、同党の下村博文総裁特別補佐は1日午前の民放番組で「予想以上の大敗だ。謙虚に受け止める必要がある」と述べ、小池氏出馬の経緯に関しては「反党行為だったことは事実だ」として、党紀委員会で処分を検討すべきだとの考えを示した。
 
都知事選開始時には自民党員で小池氏を応援した場合には除名処分もありうるという締め付けを自民党は出している。これに対し、小泉氏は何が自由だ、何が民主だ、と批判していたが、まさにその通りだと思う。小池氏は、都知事に立候補すると最初に手を挙げた人だからである。
 
なぜ自民党が小池氏の立候補を認めなかったのか知らないが、新聞報道によれば自民党都議連の反対があったという。ニュースの一部では小池陣営が対立構図を作るために仕掛けた、という解説もあったが、立候補に至る実際の流れを見る限り、仕掛けと言うよりも党都連の反対が主原因だろう。
 
選挙民から見れば、なぜ都知事にふさわしい人が立候補しようとしているのに自民党がそれを認めないのか不思議に写った。それを小池陣営はうまく選挙運動に利用した、というのが真相だと思う。
 
これは会社組織の中でも起きる力学だが、本来ふさわしい人が手を挙げても、その人を嫌っている有力者が組織を動かし、ふさわしい人をつぶしにかかる時に見られる。このときつぶされることを避けて、組織に従うのか、あるいは正論を通し組織を飛び出す選択をするのかは難しい。
 
組織の健全化のためには後者が正しいが、個人の人生を考慮すると前者が無難な選択となる(注)。そもそもふさわしい人材を引っ込めて、わざわざ他の人を持ってこようとする組織の動きが不自然で、そのようなことは少し知識があれば気がつく。
 
現代の組織は柔軟な動きが求められている。選挙前の出来事はさておき、今後を考えたときには、形式通りの処分をしない方が自民党という組織として健全である。本来党都連の動きがおかしかったのである。党都連を正しいと認めれば、小池氏の動きは反党行為になるのかもしれないが、党都連がおかしな動きをしたために今回の事態を招いたとしたならば、悪いのは党都連であり、党都連の改革を自民党はすべきである。
 
WEBには「党都連のドン」の存在や、その人物により自殺に追い込まれた自民党都議の話(走り書きの遺書まで公開されている)、東京オリンピックに関わるドンの周囲の怪しい話が報じられている。今回小池氏を応援した場合の締め付けもその人物名+石原氏で出されている。はたして小池氏および応援者を反党行為として機械的に処分するのが正しいのかどうか。
 
逆に「処分しない」、という判断の方は政治的に見えるかもしれないが、自民党という組織にとって正しい判断のように思われる。もし「処分無し」という判断を出して党都連の改革に乗り出したなら自民党は都民に見直されるかもしれない。石原氏は「小池さんはわがままだ」と表現したが、本当に厚化粧でわがままかどうかは今回都民が判断を出したのである。小池氏は党都連の改革を掲げていた。ゆえに処分ではなく党都連の改革という方針が自民党として自然な判断では?
 
(注)高純度SiCの事業を住友金属工業(当時)とのJVとして立ち上げながら、転職に至った経験を持つ身としては、大変辛い選択となることを覚悟して正論を通すべき、とアドバイスしたい。

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