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2016.08/16 仰天した仕事

ゴム会社の最初のテーマは防振ゴム用樹脂補強ゴムの開発だった。今で言うところの熱可塑性エラストマーである。すなわち加硫ゴムが島で樹脂相が海の当時は新素材の開発である。
 
この材料は、性能が低くてもよいならば動的加硫という技術を用いて二軸混練機で製造できる。しかし、当時高性能が要求されたのでバンバリーと二本ロールを用いて開発していた。
 
指導社員からテーマの説明を受けたときに指導社員が製造したというサンプルの物性を評価しながら、評価技術の指導を受けた。
 
そのサンプルは、指導社員が一回の実験で創りだした材料だった。しかし、物性は座学で教えられた理想の物性に極めて近かった。当方の最初の仕事は、そのサンプルの再現を確認する実験から始まった。
 
しかし、同一配合のゴムを教えられたプロセスで混練してもなかなか指導社員のサンプルと同じ物性にならなかった。このあたりの話は以前この欄で紹介した。その後分析担当の女性陣がサポートしてくれてゴムの高次構造のプロセス依存性のデータが揃うことになる。
 
しかし、驚くのはたった一回の実験でベストに近い物性のサンプルを創り上げた力量である。見方を変えると再現性の乏しい技術だからだめだ、という批判も出てくるが、プロセスの勘所を押さえると十分に再現性のある凄い材料になった。
 
当方は新製品の樹脂を用いて、この材料よりも品質の良い材料を3ケ月未満で開発するのだが、指導社員はシミュレーションで目標を立ててたった1回で仕上げているのである。指導社員は当方の開発した材料を褒めてくださったが、何かイヤミを言われているようで素直に喜べなかった。
    

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