2016.09/16 企画を成功させる(1)
新企画を事業の成功に結びつけるためには、膨大なエネルギーが必要である。そのときマネジメントの役割が大きい。さらに確かな真実を指摘すれば、企画者の職位に関係なく、知識労働者は全員がエグゼクティブである、という意識を持たない限り、成功は保証されない。
この、知識労働者は皆エグゼクティブ、という言葉は、故ドラッカーの幾つかの著書に出てくる知識労働者の時代である現代をうまく表現した言葉だ。企画担当者は当然企業の中でエグゼクティブなのである。
高純度SiCの企画をゴム会社で立案したときには、ドラッカーを愛読していたので、このような気持ちだった。さらにゴム会社の創業者の精神を新入社員時代に研修で教育されていたのでドラッカーの精神を実践するのも容易だった。
高純度SiCの企画は、ワンショット法(リアクティブブレンドプロセス)による発泡体技術開発を担当したことがきっかけで生まれている。すなわちリアクティブブレンドを用いれば、当時先端技術として登場したゾルゲル法の適用領域を無機成分だけの混合から無機高分子と有機高分子という異なる成分の混合技術まで拡張できるメリットがあった。
たまたま、会社の50周年記念論文の募集があったので、この技術を核にしてゴム会社がセラミックス分野へ進出するシナリオを書いて応募した。世間ではセラミックスフィーバーが始まり、社長方針として、1.電池、2.メカトロニクス、3.ファインセラミックスの3本の柱で新事業へ、というスローガンも出されていた。
だから、自分の書いたシナリオには自信があったが、その審査では佳作にも入らなかった。但し、当時一席になったのは、豚と牛を掛け合わせたトンギューなる生物を産みだすバイオ技術など当時とすれば荒唐無稽の話題を扱った論文だった。誠実真摯に書かれた現実的な内容のシナリオは箸にも棒にもかからなかったわけだ。
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