2016.10/10 名古屋の魅力(3)
ものづくりの心に触れることを目的とした「産業観光(industrial tourism)」という言葉を日本では東海旅客鉄道初代会長須田寛氏が最初に提唱したと言われているが、愛知県は製造業を中心に栄えてきた土地柄のため非常に力を入れている。
例えば、トヨタ自動車(株)が運営するトヨタ博物館(長久手市)やトヨタ会館(豊田市)、トヨタ産業技術記念館(名古屋市)の3施設を初めとして、29施設が、モデルコースやそれぞれの施設の楽しみ方とともに、愛知産業観光ナビに紹介されている。
このホームページ(以下HP)に紹介された29施設以外に、当方が調査したところ10施設以上名古屋にはこれらに匹敵する産業観光施設が存在し、全国的に見ても名古屋は産業観光の宝庫と呼べるエリアである。
なぜHPに一部の施設が紹介されていないのか不明だが、当方が知っている施設には名古屋市西区の正村ビル3Fにある正村竹市資料館のように、現在閉館中で開館予定は不明という施設もある。
この資料館は、パチンコマニア垂涎の聖地とも呼べる展示がなされていて、学生時代までパチンコに打ち込んでいたので、この展示を見て当時を思い出し感動した。かつて大三元のチューリップ満開でフィーバーした経験のある世代ならば、ここが再度開館したら是非一度見学に行くだけの価値のあるパチンコ専門の博物館である。
また、名鉄河和線住吉町下車徒歩5分の位置にある半田赤レンガ建物は、知る人ぞ知る幻のカブトビールの製造工場跡地である。横浜赤レンガ倉庫や日本橋も手がけた明治建築界の巨匠妻木頼黄(つまきよりなか)の設計による遺構であるが、中空構造を持つ複壁や多重アーチ床など珍しい構造に触れることができる。このような開館中の渋い施設もHPに紹介されていない。
愛知県はこのように産業観光に力を入れているが、名古屋はその宝庫である。しかし、愛知県のHPには、そのすべてが紹介されておらず、県と市の連携の悪さが少し気になる。それが市長の濃いキャラクターが原因でなければよいが。
ところで、もし名古屋駅で4時間以上の時間ができたならば、800円の共通券を購入し、ノリタケの森とトヨタ産業技術記念館を楽しんでいただきたい。2時間未満の時間であれば、ノリタケの森を無料で散策する旅を推薦する。二時間未満の小さな旅でも貢献を重視する名古屋人の気質をうかがうことができる。
ここは必ずしも一般大衆が魅力に感じる街では無いが、秘めた魅力の多い街である。その秘めた魅力が時々爆発する。それが名古屋だ。もし名古屋の魅力を花火として打ち上げる必要があればいつでもお手伝いします。
カテゴリー : 一般
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