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2016.10/23 仕事のやりにくい関係(2)

始末書を提出した後に調査をして慌てた。市販のホウ酸エステルを使う、と書いたが、ホウ酸エステルが市販されていなかったのだ。リン酸エステルは難燃剤や可塑剤として多数の種類が市販されていた。
 
調査もしないで適当に浮かんだアイデアで始末書を書いたために、いざ企画書をまとめ始めて困った。市販されていないホウ酸エステルをどのように調達するのか、悩んだ。
 
指導社員は気楽だった。どのようなことがおきてもいつも美しさを保ち悠然と構えているような人だったので、気楽に見えたのかもしれない。当方が書いたのだから何とかしなさい、と言うだけだった。調査を進めたところさらに困った情報が出てきた。ホウ酸とジオールとのエステル類は加水分解しやすく貯蔵安定性が全くないのだ。
 
実際に合成してみたところ、脱水しなければすぐにホウ酸が析出する。さあ大変だ、と慌てて走り回り実験室を見渡したところ、ジエタノールアミンを見つけた。このジエタノールアミンでホウ酸をエステル化したところ、不思議なことに安定な化合物ができた。セレンディピティーとはこのようなことを言うのかもしれない。
 
独身寮に帰り、分子模型を組み立てたところ、ジエタノールアミンのNがうまくホウ素原子に配位するモデルを組み立てることができた。翌日図書室に行き、文献検索を行ったところ、過去文献にホウ酸とジエタノールアミンの情報が出ていた。しかし、難燃剤としてではなく防錆剤としての応用で、その情報から安定な化合物であることを確認できた。
 
始末書を提出して1週間後、リベンジできそうな新規炭化促進型難燃化システムの企画書が出来上がった。指導社員は、あとは本当にガラスができるかどうかだけね、と言われたが、ホウ酸エステルとリン酸エステルとの反応でボロンホスフェートができることを知っていたので、それには自信があると応え、翌日からサービス残業の生活が始まった。
 
真摯に成果を考えたときに、その成果に集中すると、人間関係は、組織の道具としての一部品となる。人間関係が良いと、組織への働きかけは容易だが、仮に悪くても組織が何とか機能しておれば成果は出せる。人間関係に依存しない組織と成果に集中することが大切である。成果と無関係の属性に目を奪われているとひどい目に合う。

カテゴリー : 一般

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