2016.11/04 実験のやり方(2)
11月15日に開催される問題解決のセミナー( https://www.rdsc.co.jp/seminar/161116 )について弊社へお申し込み頂ければ割引価格で受講可能ですが、このセミナーの内容について少し紹介している。
さて、科学の理論で否定される現象が実験の結果として得られたらどうするか。それを実験の失敗として見なすのか。新たな現象として見なすのか。技術開発では、この時の対応の仕方で正真正銘の基本特許を書くことができるかどうかの分かれ道であり、科学の世界に身を置く場合には、新たな挑戦をするための勇気が求められるチャンスである。
いずれにせよ大変なできごとである。人生一度でもそれを体験できたならば、技術者として幸運である。科学の世界でも幸運のはずだが、STAP細胞の騒動を見てしまうと、小保方さんの人生がどうなるのか見極めたうえで判断したい。自殺者まで出ている。
当方はこのようなシーンを二度以上体験できて幸運だった、と感じている。感じている、と表現しているのは、第三者が見た時に成果を出しても評価されなければ不幸だという人がいるからだ。
しかし技術者は知識労働者なので、その働く意味は貢献と自己実現にあるという視点に立つと、そのような現象に出会って、十分な自己実現もでき、事業へ貢献できたならば幸運である。
例えば、半導体用高純度SiCの事業化や、PPSと6ナイロンを相溶した技術で貢献した複写機事業と、十分な評価はされなかったが、なんといっても、当方がいなければ絶対にだれもできなかった、あるいは誰も実施しなかったシチュエーションなので、これは自己満足ではない。
ところで、技術開発の問題解決において、科学的に考えると解決できない問題に遭遇した時にどうするか。否定証明を行い、その技術開発の方向は間違っている、という結論を出すのか、科学に反する新たな現象を起こす実験を行い新たな機能を創りだすのかは、大変な分岐点である。
このような分岐点における意思決定こそマネジメントの醍醐味であるが、結論が出ても意思決定できず、開発方針を修正せず継続した現実のケースも存在することを昨日書いた。
過去の体験では、大胆な意思決定を行い、周囲にもそれを促し、技術開発を成功に導いた。問題解決とは新たな挑戦を行う意思決定でもある。
カテゴリー : 一般
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