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2016.11/28 意欲

仕事をするには意欲が重要である。低俗な本能に任せた意欲ではなく、自分の設定した目標を実現しようという意欲を実現できた時の喜びは、低俗な本能によるものよりも大きい。これは体験しなくては理解できない喜びなので、新入社員の最初の成功体験はその人の企業人生を左右するぐらいに言われている。
 
当方は過重労働と呼んでもよいむちゃくちゃな仕事のやり方で、新入社員時代に1年間の予定の仕事を3ケ月で仕上げた。防振ゴムの基礎配合を見出したのだが、配属された部署が仕事の終了とともに解散し、むちゃくちゃな仕事のやり方が黙認されていた背景を知って複雑な気持ちになった。
 
ただ、若さはこの程度で意欲を失わない。次に取り組んだホスファゼン変性ポリウレタンフォームでは工場試作まで成功させた「ので」始末書を書くことになった。これは少々がっくりきたが、美人の指導を受け始末書を書きなおしながら、ばかばかしさに気が付き新たな難燃化手法へのチャレンジ意欲がわいてきた。
 
成功するかどうかわからない「燃焼時にガラスを生成して高分子を難燃化する手法」の開発では、リベンジの気持ちもあり、燃えなくする仕事であったが意欲に燃えた。
 
これが成功するとフェノール樹脂天井材の仕事が回ってきた。この仕事については、上司の問題もあり、意欲をそがれるような出来事が続いたにもかかわらず、同僚がものすごく元気の良い人だったことが幸いとなり意欲を低下させる事態には至らなかった。
 
高純度SiCの企画では、最初に提案した「50周年記念論文」の応募で箸にも棒にもかからないような扱いを受けた。が、主席となった論文とは明らかに当方の論文の内容のほうが上であるとの自信があったので、落ちたことにより推進意欲は逆に上がった。この時の外部審査員がW大学の教授だったことも今から考えるとおもしろい。およそ技術を評価する目が伝統的に無い人が多いのだろう。嫌味かもしれないが、この時の内容が30年も事業として続いていることを知らせたい。
 
昇進試験で企画の内容を書いたときに0点をつけていただいたおかげで企画推進意欲はますます強くなった。中途半端な点数で落とされていたなら、おそらくへこんだかもしれない。人事部長のフォローの助言もよかったし、この時の無機材質研究所のI総合研究官の意思決定も最高だった。
 
腐らず不断の努力を続ける意欲は重要で、とにかく意欲を下げないように努力しておればそれをさらに高めてくれる人が現れるという人生である。どんなことがあっても腐ってはだめだ。
 

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