2016.12/01 モグラたたき
技術開発の下手な人の特徴にモグラたたきがある。これは子供の時から学んできた科学の影響である。それにもかかわらず、もう少し科学的にやれとアドバイスする上司もいるから上司と部下でモグラたたきをすることになる。
科学こそ命と信奉している上司は、仮説を立てて実験を行っていないからだ、とここで一言余計なアドバイスを重ねる。科学の世界で研究を行うには、仮説を立てて、それが真か偽か確認するために実験を行う。コツコツと前向きに推論を続けて、新しい一つの真理を見出す。これと同じことを部下に期待し時間も金も考えず部下に成果を出させたいならば立派なアドバイスかもしれない。
ところが、今の企業で時間も金も考えなくてもよい、などという管理者はすぐに開発担当からはずされるだろう。それではモグラたたきをする部下にどのようなアドバイスをしたらよいのか。まず、前向きの推論の展開をやめさせることである。そしてもっともモグラをたたきやすい穴を決めさせることである。どんなにモグラたたきの下手な部下でも一つの穴で待ち伏せをさせてモグラの頭をたたくぐらいのことはできる。
その穴からモグラが出てこなかったら、という心配があるなら、その穴からモグラが出てくるような対策をすればよいだけである。例えばほかの穴すべてを埋めて、水を流せば必ずモグラは頭を出す。そこをたたけばよいのである。早い話が、技術の完成した姿、結論から考えさせるのである。
この方法でモグラを一撃できることが論理学で確認されている。逆に前向きの推論では、下手なモグラたたきに陥りやすいこともわかっている。難しい論理学の教科書を開かなくても高校の数学で必要条件と十分条件を習っているから、それを使ってモグラを一発で仕留められることを理解できる。
モグラをたたきやすい穴を決める作業を科学的にできればよいが、科学的でなくても大丈夫である。もし気持ち悪いならば、簡単にどれか一つ選び無事モグラの頭をたたくことができた後に、なぜかを考え科学的に証明すれば良い。iPS細胞のヤマナカファクターもこのように開発されている。
カテゴリー : 一般
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