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2016.12/06 家庭(2)

高純度SiCの事業化を一人で担当していて大変な時期の頃の話。1階がパイロットプラントで二階が実験室のファインセラミックス棟(FC棟)を一人で使用していた。上司からは、FC棟の設備を廃棄するように促されたが、一方で職場訪問で訪れた社長からは、「がんばっとるなア、楽しみにしている」と励まされてどうしてよいか分からない状態だった。

 

ただ、当時高度でユニークな技術であることに関しては自信があったので、マーケットを見つける努力を続けていた。お手伝いをしていたLiイオン二次電池のテーマが日本化学会技術賞を受賞すると、高純度SiCのテーマに対する風当たりが研究所内で強くなった、精神的には大変な時で、FC棟まで独身寮から歩いて二分という生活を続けるには限界があった。

 

同僚の友人が息抜きにパーティーに誘ってくれたのだが、このような状態では落ち着いて談笑などできなかった。しかし、その友人の結婚式披露宴の司会を頼まれたときには、友人の一生に一回のパーティーになるはずなので、その準備とともに仕事のストレスも十分に解消するよう一ヶ月前から準備し、結婚式前1週間は定時退社に努力した。

 

このような努力の甲斐があって、司会の大役を無事こなすとともにその半年後には同じ場所で当方も結婚式を挙げることになり、家庭を持つことができた。仕事のストレスで隘路に迷い込んだときには、一度生活全体をリセットする必要があるが、なかなか自発的にはうまくできない。これは身近な第三者の存在が重要だという典型事例だろう。

 

こうして会社生活とは異なる家庭というコミュニティーを持つに至ったが、家庭が職場から一時間という距離のせいか、仕事のやり方も大きく変わった。独身の時のような仕事と私生活がシームレスの状態から、気持ちを切り替えなければ生きてゆけない生活環境となった。その結果、学位論文の執筆も進むようになった。

カテゴリー : 一般

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