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2016.12/17 専門とは、研究とは(4)

学位論文の半分は、高純度SiC合成の反応速度論である。当時シリカ還元法を用いたSiC合成の反応は、二段階で進むことが知られており、いずれが律速段階であるのか議論されていた。

 

ただ、SiC合成反応の追跡を科学的議論に耐えうる状態で行った研究は発表されていなかった。これはSiCの合成反応温度が1600℃以上の高温度であり、それを正確にモニターできる装置が無かったからだ。

 

2000万円かけて超高温熱天秤を開発した。この装置では2000℃まで1分程度で加熱することが可能である。実際には熱電対が過熱速度に追いついていないので、1分未満で2000℃に到達するが、それを知る方法が無い。

 

ゆえに加熱エネルギーを制御して到達温度を記録し、恒温制御系を一部マニュアル化した熱天秤に設計した。とにかく反応のモニタリングを正確にできる工夫はいろいろ行った。計測データのデジタル処理によるSN比をアップする方法も学んだ。

 

こうした工夫を通じて、熱分析機器の専門的知識を獲得できた。多数のテーマをこなしながら熱天秤の開発を進めていたので、典型的な過重労働を行っていたわけであるが、楽しかった。研究とは技術開発よりも楽しい行為である。だから高学歴の技術系社員をうまくマネジメントしないと皆研究をやりたがるのである。

カテゴリー : 一般

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