活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2016.12/30 混練温度(2)

ロール混練機で常用できるのは、せいぜい250℃までだ。200℃が限界というロール混練機も存在する。ロール混練機については小平製作所に問い合わせていただきたいが、単純な二本のロールで混練が可能なこの装置について仕様を決めるにも高分子のことが理解されていないと使い物にならない場合が希にある。

 

また、温度仕様により、値段が大きく変わる場合がある。ロールの駆動部分に使われるシール材が変わるからであり、単純な構造であるにもかかわらず、混練温度という因子に対して、見かけ以上にやっかいな装置である。小平製作所がロール混練で事業を開始した、という話もこのようなことが分かっていないと、単なる根津の中小企業と誤解してしまう。

 

二軸混練機などの多軸混練機は、その目的が樹脂の混練で考案されたので、300℃前後まで加温できる設備が一般的である。たいていは350℃が最高温度のようだが、400℃まで使用できる二軸混練機も存在する。

 

ところで高分子の混練温度は溶融温度以上だと考えている研究者や技術者が多い。特に樹脂を扱っている技術者は、高分子の溶融温度以下で混練する、というと混練技術を知らない、と決めつけてくる。

 

このような技術者はゴムの混練が溶融温度以下でも行われている、という常識が無く、樹脂だけの経験ですべての混練技術に精通している、という井の中の蛙状態だ。このため樹脂を溶融温度以下で混練する剪断混練技術についてはあまり知られていない。詳細は弊社に問い合わせていただきたい。

 

当方は中国ローカル企業を指導するときに、この剪断混練の技を教えている。過去に日本で笑われた経験があるので、日本ではお客様の顔色をうかがいながらこの技を説明するかどうか決めている。溶融温度以下で樹脂を混練可能であることを知らない技術者もいる。

 

(注)オープンロールの設計において300℃以上にロールを加熱する技術は存在する。しかし、300℃以上に加熱できるロールが普及していないのは、オープンロールによる混練を300℃で行った時に高分子や添加剤が酸化される問題がある。すなわちロール混練に提供されるロールが300℃以上に加熱可能な仕様になっていないのは、ロール作業が空気雰囲気で行われ高分子の酸化という問題があるためと思われる。

 

カテゴリー : 高分子

pagetop