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2017.01/16 高分子材料(10)

高分子の力学物性は、高分子の高次構造に影響を受ける。ここで高分子の構造について簡単に説明すると、高分子が一本の紐で表現できるとしたときに、その一本の紐の構造を一次構造と呼ぶ。

 

DNAは二本の紐状の分子の絡み合いでできているので、これを二次構造と呼ぶ場合もあるが、一般的ではない。一次構造の上はすぐに高次構造となる。だから高分子の高次構造といった場合にそのスケール範囲は広い。

 

10年以上前に分子一本の粘弾性測定が成功し、バルクで測定された結果と同様だった、とされているが、このそっくり具合は、双子のそれとは異なり、日本人のそっくりさんをアメリカ人の中から探し出して見つけた人程度のそっくり具合だと思う。

 

かつてゴム会社の指導社員は、高分子の力学物性は、高次構造の影響を受けばらつくからよくその構造に注意するように、と指導してくれた。例えば引張強度は、ある一定のサイズの欠陥が存在すると低い値となる。弾性率が密度に影響を受けるので自由体積の量によっても影響を受ける。だから、高次構造の影響を引張強度は受けることになる。

 

ところで引張強度は、経験的に靱性と弾性率の関数として表現できる、と教えられた。複合材料の教科書にもそのようなことが書かれていた。しかし、最近の高分子の教科書を本屋で立ち読みしてもそのようなことを書いた本が見当たらない。

 

引張強度が靱性と弾性率の関数になるという経験則は大切である。弾性率が高い高分子でも引張強度が低い樹脂が存在したり、弾性率が低い高分子で引張強度が大きなゴムが存在する理由をうまく説明できる。

カテゴリー : 高分子

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